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現場を巡る詳細

延長8.2km うち5.9kmがトンネル構造

首都高速 横浜北線を報道陣に先行公開

 首都高速道路は9日、18日16時に開通する横浜北線(延長8.2km)を報道陣に現場公開した。岸谷生麦付近や生麦JCT付近の入り組んだ高架構造、横浜北トンネルの構造や安全設備、横浜港北JCTの構造や、今後の北西線に建設について、寺山徹神奈川建設局長などが詳細に説明した。横浜北線は延長の7割に当たる5.9kmがトンネル構造で、岸谷生麦出入口、馬場出入口、新横浜出入口と3箇所の出入口を有する。なお、馬場出入口のみ供用当初には使えず、2019年度の供用を目指し工事を続ける。現場ルポをまとめた。


 岸谷生麦出入口~生麦JCT~横浜北トンネル

 岸谷生麦出入口から見える桁は、環境対策のために巨大な遮音壁(7.5m)で桁を覆っている。また、桁下には裏面吸音板も設置されており、低騒音舗装と加え、周辺への騒音に対して非常に留意していることが窺える。


巨大な遮音壁を設置

 生麦JCTは現在、横羽線羽田方面と大黒線のみが接続しているハーフJCTであるが、横浜北線と接続することにより、フルJCT化する。完成した道路は、キリンビールの横浜工場の三方を囲むように配置されている。当初は四方全てを囲むような計画が検討されていたが、民営化後の平成19年にコンパクト化する計画変更がなされた。従来の生麦入口を移設し、その跡地に連結路の橋脚を建てることで、JCT全体のコンパクト化を果たした。


左下の橋脚付近に旧生麦入口があった


キリンビール工場(中央部)の三方向を囲むように道路が配置されている


横浜北線とつながり、生麦JCTはフルJCT化する


 生麦JCTから横浜北トンネルまではJRの各在来線や東海道新幹線、京浜急行電鉄などを跨ぐ巨大な跨線橋で渡している。同箇所については、JR東日本に施工を委託し、き電停止から毎作業時、3時間という非常に限られた時間内で、4年間かけて架設し、昨年秋に架設を完了させた。


透明遮音板から跨いでいる線路が見える

 横浜北トンネル入口手前には転回路がある。こうした転回路は横浜北線全体に3箇所あり、緊急時に用いる。


高架橋部から横浜北トンネル坑口を望む


 横浜北トンネル

 横浜北トンネル(左写真)は両側部を除き5.5kmをシールド掘削している。上部に居住している家屋の立ち退き、用地買収をすることなく、区分地上権という形で買収し、極力環境に配慮しつつ施工を進めた。特に東急東横線やJRとの交差部はその30mほど下を掘進するが、慎重に計測しながら工事を進めた。

トンネル部の内径は11.5㍍、進行方向2㍍毎にRCプレキャストセグメント(厚さ40㌢)が1リング毎に9本設置されている。コンクリート中にはポリプロピレン繊維(PP、ダイワボウポリテック製「マーキュリー」)が混入されており、1,200℃の温度に耐えられるほか、PPが先行蒸発することで、コンクリートの爆裂を防ぐ技術を採用している。従来はセグメントの上にさらに一層耐火パネルを設置する方法を採用していたが、それを省略できる。

 床版は1パネル延長方向2m、幅員8.5m。これを幅員両側に橋梁でいう橋台のようなあご部に乗せるような形で配置している。間隔が広いため床版厚を40cmと厚くして、疲労による損傷に備えている。

 同トンネルは北線全延長8.2kmのうち、7割の5.9kmを占める。そのため様々な防災設備を設けて安全に努めている。トンネル上側には火災検知装置や検知した危険情報を伝えるための放送設備(約200mごとに設置)、延焼の拡大を防止するための噴霧機(1㎡当たり毎分6ℓの水を霧雨状に散布)があり、側面には100mごとに非常電話、ドライバーが泡状の消火剤を散布する消火設備や避難のため、床版下の避難用通路に逃げるためのすべり台設備がある。


噴霧機による水散布状況/非常用電話や消火器など各種防災設備

 滑り台設備は約250m毎(両坑口付近の勾配が大きい個所は設置間隔を狭めている)、合計76箇所に設置している。同設備は跳ねあげ扉方式で、600kgの錘で開く仕組みになっている。電動ではないため、停電等により非常時に動かない……といったことは生じない。


避難用すべり台は緑色のボタンを押すと跳ね上げて開く/600kgの錘で開く。電動ではない


3mのすべり台を滑って床版下の避難用通路に降りる


避難用通路は落ち着けるだけの空間的広さがある/避難用通路に各種設備のケーブルも格納している

 約3mの滑り台を滑り降りた床版の下は避難用通路になっており、高さ・幅とも、パニックを起こさないよう余裕のある広さを確保している。横浜北トンネル全体に地上出口は4箇所あり、そこから脱出する。消火用スプリンクラーの水管や電線などのインフラは避難用通路に配置しており、トンネル床版裏面およびこうしたインフラは、通過交通に影響を与えず点検できる。

 泡状消火器の使用は簡便だ。記者も実体験した。ノズルをボックスから引き出した後、安全弁を倒した後、十秒程度のタイムラグ後に泡状の消火剤が放出された。反動も少なく、消化したい個所に充てることができそうだ。


消火器の反動は少ない/ジェットファン


 また、トンネルの換気は基本的に交通車両を利用して行う縦流換気方式を採用した。火災発生時には天井についているジェットファンを利用して煙の拡散を防ぐように制御する。


馬場出入口

 馬場出入口(左写真)は、先述したように19年度の供用目指し建設を進めている。当地は水の影響が懸念されることからトンネル側の150~200mはパイプルーフ工法を採用して建設を進めた。馬場出入口は4カ所に設置されるが、全て3年ほどの年月をかけて慎重に工事を進めた。なお、それ以降は、外側からシールド機で掘削して地上と繋げていく。




横浜北トンネル~横浜港北JCT

 横浜北トンネルを出てしばらくすると土木学会田中賞を受賞した大熊川トラス橋が見えてくる。同橋は橋長158mの2層式鋼単純トラス橋。ダブルデッキ形式の鋼単純トラスとしては国内最長だ。日産スタジアム付近は、首都高では珍しく遮音壁の設置を必要としないため、走行中の眺望を楽しむのにも非常に良い作りとなっている。


遮音壁が無く眺望的に良い区間/第三京浜などを跨ぐ


北線と北西線がリンクする部分(右側の橋脚方向へ桁が延伸していく)/青いシート部分が橋脚位置


輻輳する桁(一番右から第三京浜→北線、一般道→第三京浜、北線→第三京浜、将来のランプ)

 横浜港北JCTは、横浜北線と第三京浜とを結ぶJCT(将来は横浜環状北西線も繋がる)である。横浜北線の建設に当たり、第三京浜の料金所を三段階に分けて移設し、その跡地に建設を進めた。

 現在は、横浜環状北西線の建設を進めており、現在は橋脚や橋脚基礎を施工している。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催前に予定されている北西線の供用後は、同JCTに出入口としての機能も設置する予定だ。