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循環式エコクリーンブラスト工法で塗膜剥離

国内初 潮見橋でフッ素樹脂系塗装を塗り替え

公開日:2014.11.16

 循環式エコクリーンブラスト工法を採用
 投射圧を上げて剥離効率を高める

 3、塗膜剥離
 塗膜剥離および母材の下地処理に使用するのは循環式エコクリーンブラスト工法である。
 既に中部、関東、東北を中心に40万平方㍍以上の実績を有している工法で、素地調整を1種ケレンで行う工法でありながら、産業廃棄物量を従来工法の1/50に削減できる。従来の1種ケレンでの課題は産業廃棄物処理量の多さ。これを克服するためにブラスト材には、繰返し投射しても性能の落ちないφ0.7~1㍉のスチールグリットを用いることで平均60μm(Sa2.5相当)のアンカーパターンを形成する。施工によって下に落ちたスチールグリットと塗膜カスは真空回収装置で吸引し、セパレーターで塗膜カスだけよりわけ、グリットを循環再利用していくことによって、廃棄物を大幅に低減することを可能にした。


            ブラストの施工。研削材にはスチールグリットを使用した。

          最新型のエコクリーンブラスト装置を活用。 ブラスト釜をメンテナンスすることなく連続投射可能

 さらに、今回の工事では施工能力を上げるため、能力に優れた新しいブラストマシンを用いている。具体的にはスチールグリットの投射圧を従来の0.7MPaから1.05MPaに上げることで塗膜の剥離効率を高めるとともに、小型連続式ブラストタンクCSV(通称「ツインブラスト」交永(熊本市)が開発)をカスタマイズした最新型エコクリーンブラスト装置を活用することで、従来数時間ごとに投射を止めて行う必要のあるブラスト釜のメンテナンスをすることなく連続して投射できる体制を整えた結果、一日に400平方㍍のブラスト施工(ノズルマン1人当たり50平方㍍×8班の体制)を実現した。その結果ブラストを7月初頭に打ち始めて11月4日までに10,900平方㍍を施工した(施工残1,300平方㍍)。
 ブラスト施工の後は錆が発生しないよう4時間以内に施工する必要があるため、大型真空回収装置をを4台配置して、ブラスト後すぐに回収・エアブロー・清掃をした後に塗装を施工している。
 支承周りや隅角部、桁上フランジ面など狭隘部や施工しづらい箇所は、先端を短く切ったノズルやL字型のノズルを使ってブラスト施工することで、既存塗膜を確実に除去しつつ、塗替え塗装に必要なアンカーパターンを形成している。 


      先端を短く切ったノズル

 既存塗膜が鉛を含んでいるため、施工者の防護には最大限の配慮を行っている。ブラスト施工者だけでなく、粉塵やスチールグリットを回収する作業者も同様に防護服を着用し、防塵マスク内は呼吸用エアラインホースを入れて加圧することにより、マスク外の鉛を含有した粉塵を作業者が吸い込まないようにしている。また、「施工個所内の空気が1立方㍍あたり15分で1周するような空気量を吸う集塵機を入れて労働者の安全性に配慮している」(山田塗装)。
 また、外部に対しては粉塵が漏れないように、通常では二重のカバー(ブルーシート)を三重にし、万全を期しているほか、作業後のエアーシャワー施設なども完備し、外部への有害物質の漏出を防いでいる(労働基準監督署へ計画の説明)。


エアーシャワー設備(左)も完備。三重のカバーで外部への有害物質の漏出を防ぐ

 5層塗り250μmの厚さ
 桁端部、添接部はさらに増塗り

 4、防食
 塗装の標準は下記表の通り5層塗り250μmの厚さ。
 工事着手前の発錆状況やボルト部の腐食などが主桁に比べて桁端部および添接部に集中していた。特に同部位は湿潤し易く塩分付着量も増加する傾向にあるため、一般部に比べて錆が発生しやすいことを考慮して、桁端部から1.5㍍および添接部については下塗り1層(弱溶剤系変成エポキシ樹脂塗料60μm)を施工者創意工夫により増し塗りしている。


                  使用した塗装系。添接部や桁端部は増し塗りを施している<

                   塗装の施工。(左)下塗り1層目、(中)下塗り3層目、(右)上塗り

                     平面部も隅角部も添接部も塗装の仕上がりは非常に丁寧
 また、鋼製支承の防食は亜鉛を用いた溶線式フレーム溶射(酸素とアセチレンによる燃焼炎(フレーム)中に線状の溶射材料を連続的に送ることにより溶融させ、圧縮空気で微粒化された溶融粒子の投射により亜鉛溶射被膜を形成する手法)を採用している。


                   溶射の施工

 タフガードQ-R工法を採用

 5、コンクリート部補修
 「1個所あたりの面積は少ないものの、広く点在している状況」(同社)で、損傷個所は1618個所に及んでいる。これを1個所ずつ丁寧にはつり、鉄筋を防錆処理した上で断面修復し、繊維メッシュ材を必要としないポリウレタン樹脂系の剥落防止工法「タフガードQ-R工法」を用いて剥落防止工法を施工した。


                    剥落防止工(タフガードQ-R工法)

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