道路構造物ジャーナルNET

㊻「第2ステージ」の在り方

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術統括監

植野 芳彦

公開日:2019.09.16

1.はじめに 

 9月です、また議会月です。最近は、災害が多いですね。特に水害。どうも、雨の降り方が変わってきたようです。9月は防災月間で、防災に関して様々なイベントなどもあります。そこで思うのが、防災に対する私の役割ですが、少なくとも、常時には健全な構造物をなるべく多く残すことでしょう。しかしここで問題なのが、過去に作られたものが、どうも不安です。形だけは、まねて設計し作ったのでしょう。潜在的危険因子です。これでは、「耐震化」などと、かっこよいことを言っても、無意味です。
 どうも最近は、筆が進みません。構造物よりも自分の老朽化が気になります。単身赴任も5年を過ぎると、あまり良くありません。人間ドックでの数値も最悪。若いうちの5年と歳をとってからの5年はだいぶ違いますね。橋の老朽化に取り組み、自分の老朽化を忘れてました。(苦笑)
 今回は、気になっている第2ステージの在り方について問題提議したいと思います。

2.第2ステージへ(前にも書いたが)

 第1ステージが終了し、場面は第2ステージへと突入した。財政の問題は非常に大きな問題であるが、各々の財政上の課題があるため、少なければ少ないで、与えられたなかで対応しなければならない。我々の役割としては管理していく上での技術面での課題を解決していく必要ことが使命である。しかし、第一歩として、必要な予算額がシミュレーションできていないということも見受けられる。いうことは言っておかないと、責任はこちら側に来てしまう。無理でも、必要なものが出せないのならば、議会や財政の責任が発生することを、認識させないとならないと思っている。

 かつてより自治体などの職員の技術的知見の低下の問題も課題視されている。「技術の伝承」ということも言われてはいるが、これがなかなか困難である。そして、具体的な解決策は、何処からも示されては居ない。そういう意味からも現在、役所における「技術職員」の有り方が問われている。職員の「技術力」は、日頃の業務内容から鑑みるに、現状のまま確保することも不可能である。高めることはとても難しいと言わざるを得ない。技術力とは何か?という問題もある。これからの社会においては、適正な判断と措置が下せる、新たな感性が重要あり、「新たなインハウス・エンンジニアの育成」が最重要課題となってくるであろう。しかし、実際には、過去からの実績やしがらみからの脱却は難しく、なかなか進展しないのが現状である。状況を俯瞰的に把握しマネジメントしていく能力を身に付けることが重要である。さらに、新技術などを積極的に採用できる能力も今後は重要と成ってくる。わけが分からずに新技術に飛びつくのではなく、現在何が必要で、どういう機能が必要かという事を理解した上での導入が重要となる。

 技術職員の技術力という問題に関しては、ここを去ってから、これまでに感じた課題を述べたいと思う。

 そして、職員の知見が少ない中、私が最も懸念しているのが「コンサルへの過信」である。補修材料・工法などの提案があった場合に、どういう判断で採用しているのか? いわゆる“裏”はとっているのかどうかである。これによって、ムダ金を使うのか使わなくて済むのかの分かれ道ができる。かつてここにも書いたが再劣化の問題が取り上げられた際に、私が掲載した写真は、「補修前のだろう」と、当事者のコンサル達が、社内等で言っているという話が伝わってきた。「じゃあ、現場を今すぐ見てこい」と言ったのだが、現場も見ないでものを言っているようでは、失格であり、その後も問題を起こしている。技術者としておかしいのだ。
 いくら補修しても、必ず再劣化は起きる。作った当初よりも条件は悪いところに施工しているのだし、補修材料の信頼性は、全体をピュアな材料で作るのとは条件が違う。現場で施工するというのは、精度も落ちる。温度や湿度、風、ゴミといった問題もあり紫外線の問題もある。これがわからないようでは、維持管理はできない。

 役所の担当者としては、当然技術的な裏を取るのが仕事である。安易に、右から左では、無駄使いと言われても仕方がない。裏を取っていくためには個人の研鑽と、人脈であり、本質を見極める能力である。
 第2ステージへ入り、様々な意見があるが、どれだけ本質を見極め、対処できるかが重要である。

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