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鹿島道路 KSプライマー

床版表面の脆弱化部分に浸透して補修

公開日:2014.10.18

 鹿島道路は、コンクリート床版補修の際に行う人力はつり作業によって、床版表面に生じるマイクロクラックなどによって生じた脆弱化部分やひび割れ部分に対し、浸透・充填して強化を図ることができる「浸透性KSプライマー」を開発した。同社は、既に展開しているコンクリート床版(および鋼床版)の打継ぎ用高耐久性エポキシ樹脂系接着剤「KSボンド」と組み合わせて使用することで、付着性能に最も影響するコンクリート床版表面層にひび割れを内在している場合でも安定した性能を確保できる工法として、国土交通省や地方自治体が管轄する道路橋床版に広く展開していく。なお、販売はケイアールエル(東京都文京区)およびケミカル工事(神戸市)が行う。
 道路橋の大部分で使用されているコンクリート系床版(RC床版やグレーチング床版など)は、走行車両の輪荷重を直接受けるため、疲労による変状が起きやすいことに加えて、積雪寒冷地においては、さらに凍結融解や(凍結防止剤使用による)塩害などの複合劣化も生じている。「このような変状に対する補修補強は床版上面からの対策が有効」(同社)とされ、上面の劣化を除去した後にコンクリートの同厚打替えや増厚が行われている。
 その際、劣化面のはつりや表面処理を的確に行い、適切な付着強度を得るはつり方法としてはウォータジェット(WJ)が最適とされており、NEXCOなどではマニュアル化されている。しかし地方自治体などでは、水処理、工期、コストなどの課題から人力ブレーカによるはつりが未だ一般的で、はつり時の新たな微細ひび割れの発生や劣化部のはつり残し部分から再劣化する課題を抱えていた。
 そうした課題に対し、浸透性KSプライマーは、表面の劣化状況に応じて0.5㌔/平方㍍以上を塗布し、毛細管現象によりコンクリート表面のひび割れに自然浸透させることで、既設床版表面を的確に補修し、床版表面の強度を向上させることができる。さらにその上にKSボンドを0.9㌔/平方㍍塗り重ねることで従来のKSボンドの付着、疲労抵抗性、耐熱性などの優位性を持しつつ、より耐久性の高い補修補強を得ることができる。

  ひび割れ幅0.5㍉程度までの浸透を確認   損傷した舗装を剥いで見ると床版上面がひび割れていることもある

 同社は、実路試験舗装による供用性の確認、日本大学生産工学部阿部研究室での輪荷重疲労試験機による付着耐久性などの検証を行っている。(井手迫瑞樹)

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