道路構造物ジャーナルNET

首都高社長会見 工事安全推進課を新設

中期経営計画、今年度事業を説明

公開日:2015.05.23

 首都高速道路(菅原秀夫社長)は5月20日に本社で定例の社長会見を開催し、2015-17年の中期経営計画の概要および今年度の事業計画について説明した。(井手迫瑞樹)

大規模更新・大規模修繕のための技術開発を推進

 中期経営計画では構造物分野の主な取組として、①きめ細かな点検による損傷の早期発見と損傷度合いに合わせたランク分けおよび計画的な補修補強の実施、②大規模更新・大規模修繕の工事着手などを推進する。
 事業を円滑に執行するための技術開発も推進するとしており、具体的には①防災・減災の技術開発として首都直下型地震に対応する早期復旧を可能とする高架橋の制震装置などの技術開発、②道路の点検・補修・補強・更新の技術開発及び活用を挙げている。②では鋼構造物疲労損傷への補修補強および点検診断技術の開発及び活用、三次元点群データを活用したInfraDoctor®の技術開発及び活用、維持管理業務を軽減する高架橋の床版上面保護工法などの耐久性向上技術の開発(床版増厚や床版防止など)、損傷した高架橋の床版の確実かつ効率的な更新技術の開発(床版の撤去およびプレキャストパネルなどの設置方法)を挙げている。

高速度路事業に2,817億円を投入
 新設1,435億円、維持1,382億円 

 今年度の事業計画は高速道路事業として新設・改築に1,435億円、維持・修繕に1,382億円の合計2,817億円、高速道路外事業に250億円を投入する。新設・改築事業には大規模更新も含まれる。その大規模更新では高速1号線東品川桟橋・鮫洲埋立部について、年度内に工事着手するほか、同線高速大師橋、3号線池尻~三軒茶屋について都市計画手続きを実施する予定だ。大規模修繕は3号渋谷線、湾岸線などで実施する予定。また、新設では横浜環状北線・北西線の工事などを着実に進める。北西線では今秋ごろより港北地区・青葉地区の高架橋下部工に着手する予定だ。
 維持管理事業では、湾岸線において舗装打換工事、都心環状線などにおいてジョイント取替工事、3号渋谷線などで鋼構造物の亀裂補強工事、1号横羽根線ではノージョイント化を69レーンで実施、新都心・並木トンネルではジェットファンなどの落下防止対策をそれぞれ施工する予定だ。

東京建設局と西東京管理局を統合
 本社に構造設計室を新設

 また、組織体制の変更にも着手する。7月には現在の東京建設局を西東京管理局に統合し、東京西局として再編、東東京管理局を東京東局と名称変更する。平成32年ごろには神奈川建設局と同管理局も統合し神奈川局に再編する予定だ。これは建設事業が概成し、今後は既設路線へと業務がシフトすると同時に大規模更新・大規模修繕へ適切に対応する必要があるため、管理部門と(建設を担ってきた)プロジェクト部門の連携を強化すべく、管理局と建設局を統合するもの。
 これに合わせて、本社でも7月1日から大規模更新事業を着実に推進するため建設事業部をプロジェクト部に改組し構造設計室を新設、同室には担当部長を置く。構造設計室は従来出先機関にあった設計課の人員を本社に集約するもの。また、点検・補修を計画的かつ効率的に推進するため保全・交通部内に点検補修推進室を新設し担当部長を置く。

工事安全推進課を新設
 局・事務所にも工事火災安全担当を新設

 加えて、5月から工事安全を総合的に推進するための組織として本社技術部内に工事安全推進課を新設した。高速7号小松川線高架下火災事故を受けたもので、担当長には建設事業部担当課長の佐藤佳孝氏が就き、専任3名、兼任3名の6名体制で発足、工事に係る安全管理、災害予防、監督などの体制を強化する。これに合わせて局には「工事火災安全管理担当」、工事事務所には「工事火災安全監督担当」を新設、本社、局、事務所が連携して火災などによる事故防止に改めて取り組んでいく。 

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム