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鉛含有塗膜剥離の際の粉じん濃度をごく微量に抑制

阿南電機 ダストレスケレンツールを米国から導入

公開日:2014.11.15

 阿南電機は、鋼橋など鋼構造物の塗装塗替えにおいて、既存塗膜の一部に含まれるPCBおよび鉛・クロムを剥離する際に作業者の安全と周辺環境への負荷軽減を図ることを目的に、粉じんを飛散させず既存塗膜の撤去と「鋼材表面に2種ケレンと1種ケレンの中間相当の塗替え下地を形成できる(米国鉄鋼構造物塗装協議会のSSPC SP-11相当)」(同社・藤原豪常務取締役)ダストレスケレンツールを米国から導入した。
 ダストケレンツールはHEPA(high-efficiency particulate air filter、ダスト補足率は0.3μ微粒子で99.97%)フィルタ付強力真空吸引装置(COMPACT-VAC)とダストレスグラインダー(ROTO-PEEN、平面用グラインダー)およびダストレスニードルガン(CORNER-CUTTER、添接部および隅角、狭隘部)からなるもの。強力な真空装置によりグラインダーやニードルガンでケレンした瞬間に吸引してHEPAフィルタを介して浄化排気するため、施工中のヤード内の粉じん濃度(鉛として)をN.D.(検出下限値以下)~0.03mg/立方㍍の極めて微量な値に抑制できる。この0.03mg/立方㍍という値は日本の国内基準である同0.05mg/立法㍍を下回るもので、米国の厳しい基準以下に合わせ、より安全性に配慮したもの。施工速度は1時間当たり3平方㍍程度。

         ROTO-PEENの施工写真
 今年5月30日に厚生労働省が通達した「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落し作業における労働者の健康被害防止について」(基安労0530第1号)では鉛・クロムなどを含有した既存塗膜の除去について「剥離等作業は必ず湿潤化して行うこと。湿潤化が著しく困難な場合は、当該作業環境内で湿潤化した場合と同等程度の粉じん濃度まで低減させる方法を講じた上で作業を実施すること」と記されており、それに対応した。
 また、同社ではさらに高い安全性、大規模な工事に対応すべく、接続可能ツール数をCOMPACT-VACの1台に対し6台、ダスト吸引ホースの延長可能距離を同3㍍から60㍍、ダスト回収容器を5㍑から200㍑に拡充した大型の強力真空吸引装置(VAC-PAC24D)も用意している。
 11月20、21日の両日、東京ビッグサイトで行われるハイウェイテクノフェア2014にも出展する予定だ。(井手迫瑞樹)

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