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ものづくりNEXT↑2014で基調講演 

「国土強靭化論~日本を強くしなやかに~」 藤井聡氏講演要旨

 国土強靭化の仕掛け人、論客として知られる藤井聡・京都大学大学院教授(第2次安倍内閣・内閣官房参与)が12日、東京ビッグサイトで開催された「ものづくりNEXT↑2014」のセミナー会場で、「国土強靭化論~日本を強くしなやかに~」として講演した。ここでは、その要旨を紹介する。藤井氏は分かりやすい言葉で国土強靭化の意義を語った。


 国土強靭化と地方再生

 ちょうど2年前の解散総選挙で公約に国土強靭化が掲げられ、選挙結果を受けて、政府のなかで国土強靭化が推進された。

 国土強靭化は今後、石破茂・地方創生担当大臣の地方創生との関係が重視されてくるのではないか。6月に政府は国土強靭化基本計画を閣議決定したが、同時に地域強靭化のガイドラインも策定され、南海トラフや首都直下型地震などで災害にさらされる地域を強靭化する取り組みを行うことになり、全国で20のモデル地域を設定、今年度中に計画をまとめる。

 地域の強靭化は、地方の活性化につながる。お金が落ちることもあるが、地域を強靭化しようとすることは、地域の未来を考えることでもある。公共事業ばかりでなく、民間のアイデアがわき出てきて必ずや地方再生に大きな影響を持ってくる。

 ビジネスマンでも小さい利益ばかり考えて動きまわるビジネスマンというのは活力があるように見えて、じつはそれほどない。一番活力のあるのは他人のことを、自分の子供や家族、地域のことを考える人だ。地域の未来のことを考えて、巨大なもののために頑張る。利他主義者ほど生の活力がものすごく太いといわれる。どれだけ地震や津波のリスクが大きくても個人主義者は地域の防災を考えようとしない。経済が活性化していけば、お金がどんどんまわって自ずと強靭化に対する投資が全国で進む。だから、私はデフレ脱却、増税に関して慎重な態度を取るべきだと主張してきた。

 されど、インフラ

 未来のことを考える賢い国民は危機に対していろんな活動を行う。地震のような危機は10年後、20年後の危機となるが、数カ月後の麻薬による危機よりもずっと危険だ。これが国土強靭化の立場で、日本国民が賢いならば、危機を突破する国土強靭化をオール・ジャパンで手に入れようとするはず。

 国土強靭化はインフラだけではない。ただ、経済や文化的な活動でインフラと無関係なものはない。蒲団のなかで寝ていても、家が建つ土地の造成がどんなものであったか、人は切土盛土の上で夢を見ている。インフラを馬鹿にする人は天にツバする人に似ている。だから、ソフト事業ばかりしてインフラをやらない国土強靭化はない

 しかしながら、インフラをつくったらそれでいいものでもない。インフラとは無関係な経産省、総務省、文科省、厚労省、農水省の財源が当然必要になる。国土交通省以外の省庁の事業を大規模に展開していかないことには国土強靭化ができないことも自明だ。

 その上で、インフラが崩壊すれば全省庁の行政活動は全部ストップする。電気が来なければ電話一本かけられない。経済のサプライチェーンが寸断されてしまう。インフラを一般の人は馬鹿にし過ぎる。

 今、湾岸部のコンビナートに発電所が集中している。これは燃料をすぐに使え、コストを最小化できるからだが、湾岸地域は地震が発生すれば地盤が悪いのでよく揺れる、液状化する、津波も来ることを考えれば重要施設は立地させてはいけないところだ。安全と金儲けで、金儲けを優先してきた、自分の命よりも金のことを考えてきた結果、日本は脆弱化したのではないか。

 東日本大震災で東京のコンビニの水がすぐなくなった。首都圏で大地震が起きたら食糧がすぐなくなる。首都圏は3600万食×3で1日に1億食を食べている。これを供給するのは大変なこと。国土強靭化とは、社会のありとあらゆる仕組みを強靭化することになる。