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直轄事業で初めて設計交渉・施工タイプによる調達方式を採用

国道2号淀川大橋の床版を鋼床版に取替

公開日:2016.05.16

 国土交通省近畿地方整備局は、国道2号淀川大橋の床版取替について直轄事業で初めて設計交渉・施工タイプによる調達方式を採用した。同橋は国道2号の淀川渡河部に架かる橋長724.516㍍の鋼6径間連続単純上路式ワーレントラス桁+鋼12径間単純鈑桁(いずれもリベット接合)で、供用後90年が経過し、傷みの激しい既存床版(RC床版構造)を鋼床版に変更し、健全化するもの。合わせて桁の損傷部にも状況に応じて補修補強を架ける方針。そのため「施工設計」、「維持管理保全設計」を基本コンセプトに、専門性が高い鋼橋上部工業者を発注対象としている。(井手迫瑞樹)

工事概要
 同橋は1926年(大正15年)に架設され、架設後90年が経過しており、第二次世界大戦の被災や阪神淡路大震災なども経験している(左図表写真は淀川大橋の概要)。24年度の定期点検やその後の診断の結果、床版の漏水、剥離・鉄筋露出、貫通ひび割れ、補修剤の再劣化、鋼材腐食など様々な種類の著しい損傷が見られている。これまでの間に何回かの補修補強工事も実施されているが、今回抜本的な対策として床版の取替工事を実施するに到った。
 ①施工設計、②維持管理保全設計を基本コンセプトにしたのは、施工者独自の最新技術や知見などを反映することで、施工時のリスクを低減しつつ、効率的な検討を行う必要があるため。①では施工計画はもちろん、施工設計することで工事を安全かつ確実に実施することを目的にしている。また②では補修補強後の維持管理も意識した設計を求めている。


(左)損傷状況/(右)技術提案による評価基準
 鋼床版を採用したのは、施工のし易さ・迅速さなどから規制負担を最小限にできることや、下部工の耐震性が低いため上部工の軽量化を図りたい――という理由があるため。ただし交通量は12時間で24,000台、24時間で35,000台弱、大型車混入率も12.7%/12時間であり、床版の疲労損傷対策が必要なためトラス部の鋼床版は版厚18㍉のUリブ、鈑桁部は14㍉のバルブリブ形式をそれぞれ採用し、かつSFRCによる基層を打設する基本方針だ。
 一方で、既設の桁形式は非合成構造だが、一部で「過去の補修補強工事により合成構造化している箇所もある」(近畿地方整備局)。そうした詳細や床版撤去後の桁部の損傷によっては大きな補修補強も考慮されることから直轄事業で初めて設計交渉・施工タイプによる調達方式を採用し、専門性の高い会社による確実な施工を求めるものだ。
 基本設計はエイト日本技術開発が行っている。

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