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小山市から首都圏、東北など旺盛な需要先に供給

安治川鉄工 エポキシ樹脂塗装鉄筋の関東工場が完成

公開日:2016.03.02

敷地面積12,000平方㍍、建屋面積2,000平方㍍
 早急に月産600㌧から1,500㌧への引き上げ目指す


 安治川鉄工(吉田秀喜・代表取締役社長)が、主力商品であるエポキシ樹脂塗装鉄筋「AGエポキシバー」の首都圏および東北復興事業などへの拡販を図るため、栃木県小山市に建設を進めていたエポキシ樹脂塗装鉄筋の関東工場(平元英二工場長)が2月末に完成した。1日には、新工場の竣工式(左写真)および完成祝賀会が開催された。敷地面積は12,000平方㍍で建屋面積は約2,000平方㍍。4.8㌧および2.4㌧×2の天井クレーンが1基ずつと、梱包用の門型クレーンが1基配置されている。またエポキシ樹脂塗装工程の諸機械は真新しい最先端の機械が既に稼働していた。生産能力は操業開始時見込みで年産7,200㌧だが、早急にフル操業に近い月産1,500㌧まで引き上げていきたい方針だ。(最大生産は月産3,000㌧可能)また、敷地には余裕があり、仮置き場の拡充や鉄筋以外のエポキシ樹脂粉体塗装を用いた製作ヤードを設けることも念頭に置いている。当初従業員は7人で、その大部分を地元栃木県在住者から採用した。

新工場外観。敷地にはまだ膨大な余裕がある

祝賀会には馬場竹次郎栃木県副知事(左)、大久保寿夫小山市長(右)も出席し、祝辞を述べた

新工場稼働により運搬コスト低減、納期の短縮化も可能

 同社のエポキシ樹脂塗装鉄筋は関西国際空港などをはじめとして多くの採用実績を有する。平成25年には国内最大の需要地である沖縄県に拓南製鐵など4社と共同出資で沖縄コーテックを設立し、生産拠点を設け、成果を収めている。しかし、東日本においては本社のある関西からの対応であったため運搬コスト、納期などの面で後れをとっていた。そのため、2年前から東日本に新たな拠点を求めていたが、今回2020年東京五輪や首都高速の大規模更新、川崎臨港道路などの事業を有する首都圏と東北復興(復興道路のコンクリート上部工とりわけ床版は防食鉄筋の使用が必須)という需要が旺盛な2地域に近く両地域を俯瞰できる小山市に拠点を設けることで、運搬コストの低減や納期の短縮化も可能になる。

総需要を5万㌧に増やす


 吉田社長(右写真)は祝賀会の挨拶で「小山市に(東日本)拠点ができたことで真に全国的なメーカーとして脱皮する門出の日であり、コンクリート構造物の長寿命化に資する製品を供給することで社会のお役に立ち、社業の発展、栃木県、小山市という地元地域への貢献に尽くしていきたい」と語った。また、当サイトの取材に対しては「現在のパイの奪い合いではなく、既存の市場+護岸や桟橋といった海洋構造物など新市場を開拓することで、総需要を現在の3~4万㌧から5万㌧程度まで増やし、その中で7割のシェアを握りたい」と話した。

小山市ならではの小ロット供給も可能

 その実現のため、森口敏宏エポキシバー事業部長が当面、大阪から小山に常駐し、東日本方面営業の陣頭指揮を執る。また、関係商社などと協力して、積極的にコンサルタント、ファブ、ゼネコンなどに展開していく方針だ。森口事業部長は当サイトの取材に「小山市は大きな需要を有する地域に近く、かつ鉄筋メーカーも多く存在することから材料も容易に調達できる。こうした環境であることから周辺にはPCファブの工場がたくさん存在するが、そうした需要先にも小ロットでエポキシ樹脂塗装鉄筋を供給することも可能だ。こうしたアドバンテージも生かしていきたい」と話している。
(2016年3月2日、井手迫瑞樹)

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