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インタビュー詳細

2020年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑨高田機工

経常利益が前年度を上回る 全天候型塗装工場の新設工事に着手

高田機工株式会社
代表取締役社長
髙橋 裕 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。今回は、高田機工の髙橋裕社長と駒井ハルテックの田中進社長の記事を掲載する。


 ――2019年度業績は

 髙橋 19年度、橋梁事業では新設鋼橋の発注が14万tに届かず、前年度比7割程度の発注量に留まったが、応札案件を絞り込み、経営資源を集中活用することで、一定の成果を上げた。一方、鉄構事業では目標案件で結果を出すことができず、受注高も前年度より減少。全体の売上高は176憶円と前年度を下回っている。

 しかしながら橋梁事業で完成工事の増工など設計変更による契約金額の増額があり、原価の低減も進んだことで、経常利益は前年度を上回る結果を残すことができた。また、橋梁事業の工事成績では東北地方整備局から3年連続で工事成績優秀企業の認定を受けるとともに、関東地方整備局発注の千葉県市川市の行徳橋上部工事では「優良工事及び優秀工事技術者」の局長表彰を受けることができた。

 ――今年度の見通しは

 髙橋 今年度の新設鋼橋発注見通しは、19年度の発注量が予想外に少なかったことや、公告の状況から年度当初は大幅に増加するのではと期待していたが、第1四半期の発注状況は予想を大きく下回った。新型コロナウイルス感染防止対策の推進による自粛要請の影響と推測している。

 また、鉄構事業もコロナ禍の影響は徐々に出てくるものと危惧しているが、5月後半より経済活動が段階的に再開し、橋梁・鉄構の両事業も一定の発注量を期待できる見込みが立ったことから、19年度の決算発表時には未定としていた今年度の業績予想を、第1四半期の決算発表時に開示した。橋梁の減少予想を鉄構で補い、合計では前期並みの受注量確保を見込んでいる。

 また、橋梁事業を取り巻く環境が新設から保全へ変化していることを受け、新設工事の受注維持とともに、新たに立ち上げた「保全工事検討委員会」を中心に大型保全工事の確実な受注を目指す。

 一方、このところ低迷を続けている鉄構事業については、体制の強化とともに、大型再開発案件の受注など、鉄構部門の業績回復に向け取り組みを進める。



「行徳橋」(千葉県市川市)


 ――ウィズ・コロナ対応は

 髙橋 政府が今春に発出した緊急事態宣言を受け、在宅勤務への移行を部門ごとに検討・実施し、相応の成果があったものと考えている。設計部門は80%近く、オフィス全体でも約50%の在宅勤務を確保できた。在宅勤務の本格的な実施に伴う情報共有面での懸念に対しては、オンラインでの会議や打ち合わせによる情報共有、社内文書の電子承認の実施など、試行錯誤ながら対策を進めた。これらは、ペーパーレス化推進の契機にもなると期待している。

 また、時差出勤やフレックスタイム制の検討などをきっかけに、「働き方の多様化」に対する社内の意識が高まり、今後は、子育てや家族の介護など、さまざまな事情のある人が働き続けられるための仕組みづくりを進めやすくなるのではないかと考えている。

 ――設備投資計画は

 髙橋 昨秋からブラスト工場の更新に合わせて、品質向上と工程の安定化を目指した全天候型塗装工場の新設工事に着手しており、効率向上のためのヤードレイアウト変更工事を並行して進めている。この工事は3カ年計画で、設備投資の総額は約17億円。まず、今年度中にブラスト工場の稼働を目指している。このほか、工場内には30年近く稼働している設備も多く、これらの更新も早急に進める必要がある。

 ――課題と対策・戦略は

 髙橋 昨年6月に社長に就任してから1年、社内各部門同士の交流や情報共有のためのツールを充実するなど、連携強化を積極的に進めてきた。こうした取り組みはコロナ禍に伴うテレワーク拡大時においても、社内のコンセンサスを確保することに役立ち、業務への影響は最小限に留めることができたと思う。今後は災害罹災時など、イレギュラーな状況下でも事業を円滑に遂行できる体制構築を進めていきたい。

(聞き手=八木香織、文中敬称略 2020年10月19日掲載)