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インタビュー詳細

2020年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑦巴コーポレーション

『KEEP on 3』をスタート 企業としての真価が問われる時期に

株式会社巴コーポレーション
代表取締役社長
深沢 隆 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。今回は、巴コーポレーションの深沢隆社長と日本ファブテックの野上勇社長の記事を掲載する。


 ――昨年度の業績は

 深沢 昨年度は、中期5カ年経営計画『NEXT-5』の最終年度にあたり、完工高317億円、営業利益26億2,000万円、利益率8.3%となり、計画を達成することができた。

 ――基本方針は

 深沢 今年度から新たな中期3カ年経営計画『KEEP on 3』をスタートさせた。オリンピック施設建設も終わり次の首都圏を中心とした再開発計画が軌道に乗るまでは、端境期を迎えることが想定されたことから、目標として、完工高は前計画に比べて低めの290億円。しかしながら、営業利益確保は粘り強く挑戦するということで、同額の22億円、利益率は高めの7.6%に設定した。

 なお、計画立案後、コロナ禍の影響で先行き不透明な状況に陥ったが、計画の最終年度となる2022年度までには、建設景気が持ち直すであろう、また今年度は受注残もあり、最低限の業績は確保できるであろうとの見方に立ち、変更しないこととした。

 経営の軸としては、①利益(プロフィット)、②技術(テクノロジー)、③持続可能性(サステナビリティー)という三軸を設定している。

 また、前計画においては、①「技術立社の堅持」、②「企業体質の改善・強化」、③「事業領域の拡大・新規事業の創出」、④「グループ総力の結集」を基本戦略として、『企業価値の向上』を狙うとしていたが、新計画では、さまざまな社会構造の変化に的確に対応すべく、⑤「事業継続性の確保」と、⑥「変革にチャレンジ」を新たに加えることとした。

 ――製品ごとの見通しは

 深沢 鉄骨は、コロナウイルス禍の靄がかかっている間に単価が急落し、少なくとも新規受注案件については苦しい展開が想定される。得意とする大空間構造、特殊構造も同様な流れになるのは避けられないであろう。したがって、独自技術を活かせる製品に特化した営業を展開し、培ってきた実績、技術を評価頂くことにより、単価下落の影響を最小限に抑えたい。

 送電鉄塔については、東北電力の大型案件の出件が予定されているが、電力自由化に伴うコストダウン要求の下、激烈な価格競争は避けられないとの見通しであり、最低限の生産量確保にとどめることになる。

 橋梁については、今年度も発注量の大きな伸びは期待できないとみており、引き続き受注に向けた活動の強化は図っていくものの、受注済み案件のコストダウンに注力したい。



銀座線渋谷駅Mフレーム


 ――短期的な対策は

 深沢 厳しい時代を生き抜いていくために、まずはコストダウンである。

 具体的取り組み事項としては、①特殊構造に特化した三次元対応の自社開発ソフト「TOPS」のさらなる充実、②それを操る生産設計スタッフの充実によるデジタルトランスフォーメーション対応力強化を挙げたい。また、それに併せた、③既に実施済みの基幹小山工場に続く、札幌および十和田工場の管理事務棟新設によるIT対応環境整備、④生産設備の更新、⑤工場レイアウト見直しの推進も図る。 

 ――中期的な対策は

 深沢 第一に、技術立社の原点に立ち返り、グループにおける試験設備の集約(イノベーションセンター)をはじめ、技術開発の強化、再構築を進めていく。

 第二に、開発営業部を新設、次の百年を見据えた、大転換期だからこその事業領域拡大、新規事業創生に取り組む。 

 ――総括すると

 深沢 『KEEP on 3』は、『次のステージに繋ぐ、架け橋の3年』と位置付けており、『緩んだ箍を締め直す』との思いが込められている。そのためには、次代を担う人材の活躍が不可欠であり、その機会を提供し続けることが、私に課せられた使命と考えている。働き方のスタイルが変化しようとも、リーダーがなすべきことは変わらない。

(聞き手=大熊稔、文中敬称略 2020年10月12日掲載/10月14日修正)

【お詫び】10月12日の記事公開から14日午前11時30分まで、本文中の「売上高の推移」表を誤った表で掲載していました。株式会社巴コーポレーション様ならびに読者の方々にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。