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インタビュー詳細

床版取替工事で渋滞抑制の取り組みを実施

NEXCO中日本八王子支社 中央道の2区間で付加車線設置事業に着手

中日本高速道路株式会社
執行役員
八王子支社長
湯川 保之 氏

 中日本高速道路八王子支社は、中央道小仏トンネル付近での別線トンネルの新設を含む付加車線設置事業などの建設事業を進めている。高速道路リニューアルプロジェクトの床版取替工事では工事渋滞を抑制するために、新工法の採用や仮橋架設による4車線確保といった取り組みを行う。重交通路線である都市部と急峻な山岳地帯の路線を管理する八王子支社の現状について、湯川保之支社長に聞いた。


中央道、圏央道など6路線316.8kmを管理

 交通量87,000台/日の高井戸IC~調布IC間では疲労の問題が顕在化

 ――管内の概要、および管理延長を含めた管内の道路の現状と課題について教えてください

 湯川支社長 当支社は1都5県にわたり、中央自動車道(中央道)、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、安房峠道路など6路線、316.8kmの高速道路・自動車専用道路の管理を行っています。



管理路線と各路線の延長(NEXCO中日本八王子支社提供。以下、注釈なき場合は同)


 管内では2012年12月2日に笹子トンネル天井板崩落事故が発生し、9名の尊い人命が失われました。この事故を決して忘れることなく、「安全を何よりも優先し、安心・快適な高速道路空間を提供する」という経営理念を会社として掲げていますが、なかでも笹子トンネルを管理している当支社ではさらなる安全性向上と高速道路の機能強化の取り組みをしっかりと進めていきます。

 管理路線では、中央道は東京を起点に非常に急峻な山岳地帯を通過するという特徴を有しています。最初の開通区間である調布IC~八王子IC間は開通から53年が経過しており、全線開通から数えても38年が経ちました。そのため、老朽化の進展が問題となっています。

 また、高井戸IC~調布IC間の平均断面交通量は87,000台/日ですので、疲労の問題も顕在化しています。各路線は地域の工業、農業、観光などに幅広いストック効果を発揮してきましたが、今後も地域の期待に応え、高速道路本来の使命を永続的に果たしていけるように、日々のメンテナンスとともに、高速道路リニューアルプロジェクト、耐震補強、付加車線事業といったプロジェクトに取り組んでいくことが我々の任務であると考えています。


中央道 小仏トンネルおよび相模湖付近では休日に渋滞が発生

 付加車線設置により渋滞解消を目指す

 ――主な建設事業の目的と概要は

 湯川 中央道の小仏トンネルおよび相模湖付近の付加車線設置工事を進めています。

 小仏トンネルは東京と神奈川の都県境に位置していて、トンネル手前からトンネル内まで続く上り坂による速度低下が原因で、年間を通じて休日の夕方に大規模渋滞が発生する全国でも有数の区間となっています。そのため、登坂車線の設置により交通渋滞の解消を目指しています。具体的には、上り線に小仏トンネル西側から八王子JCT付近までの約5kmにおいて、新設のトンネルや橋梁を含む約3.5㎞の別線と橋梁3橋を含む約1.5㎞の拡幅により付加車線を設置する事業に着手しました。

 なお、本工事は長期間にわたるため、当面の対策としてトンネル内の走行速度の低下をセンサーが感知したときに大型の指向性スピーカーで速度回復を促すメッセージを放送するソフト面の対策を2019年4月に開始しました。中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京と共同で導入したものとなります。この取り組みで、第23回(2020年)交通工学研究会技術賞を受賞しました。このように、ハード面とともにソフト面からも高速道路のマネジメントを考えることは重要だと考えています。



大型の指向性スピーカーによる渋滞対策


 相模湖付近の改良工事は、サグ構造による速度低下で週末の午前中を中心に渋滞が発生していることから、下り線に約2kmの付加車線を設置するものです。

 両事業では、お客さまや地元の方々への影響を最小限に留めることを重要視するとともに、希少猛禽類への配慮、相模湖付近ではJR中央本線との近接施工など、厳しい条件のなかで安全を最優先して工事を進めていきます。

 また、事業区間ではリニューアルプロジェクトや耐震補強工事も実施する必要がありますので、付加車線事業と連動して効率的に進めていきたいと思います。



小仏トンネルおよび相模湖付近の付加車線設置事業の概要図


延長2,304mの別線トンネルと橋長457mの橋梁を新設

 仮桟橋の構築などの準備工事を推進

 ――小仏トンネル付加車線設置事業の具体的な工事内容と現況は

 湯川 山岳部ですので仮桟橋を主体にした大規模な工事用道路の設置、別線トンネルとなる新小仏トンネル(延長2,304m)の掘削、トンネル西側に位置する橋長457mの新底沢大橋(5径間連続PCラーメン箱桁橋)の新設などがあります。

 現在は用地取得と建物移転が完了し、トンネル工事や橋梁工事などで使用する工事用道路(進入路の施工や仮桟橋の構築)などの準備工事を行っています。

 ――工事用道路の延長は

 湯川 施工中の工事用道路は2件あり、トンネル西側の底沢工事用道路は1,800mで、そのうち仮桟橋が540mと30%を占めています。東側の八王子工事用道路は1,200mで、仮桟橋が1,100m(延長比91%)に及びます。



工事用道路概要図


 ――仮桟橋構築で採用している工法は

 湯川 今後の現場状況により変更する可能性はありますが、現状では通常の仮桟橋を採用しています。




底沢地区工事用道路の施工状況


八王子地区工事用道路の施工状況


 ――本線建設時の工事用道路を活用している箇所はありますか

 湯川 施工中の工事用道路以外に竣工しているものが1件あります。トンネル西側の小原工事用道路(延長650m)で、既設の工事用道路を一部活用しながら整備をしました。

 ――工事用道路施工においても希少猛禽類への配慮は必要でしょうか

 湯川 行動圏のエリアに入りますので、時期を選んで施工することになります。トンネル掘削などの本工事では通年施工のための対策を取ることを考えています。

 ――新小仏トンネルと新底沢大橋の工事は発注済みですか

 湯川 新小仏トンネルは9月16日に契約しました。新底沢大橋は上下部工一体での発注で、9月18日に公告をしており、12月の契約を目指しています。

 ――新小仏トンネルは両坑口からの掘削となりますか

 湯川 まだ計画段階ですが、厳しい地形のため坑口から掘削することは難しくなっています。そのため、トンネル側面への工事用のトンネルを掘って、そこから東側と西側に向けて掘削することを予定しています。

 ――2車断面ではなく1車断面となっています

 湯川 計画では、断面積約80m2の1車断面です。ただ、幅員は8mで緊急時には2車線をぎりぎり確保できる断面構成となっています。

 ――本線トンネルとの離隔は

 湯川 最小約35m~最大約80m(トンネル内空の中心から中心の距離)で、安全に施工できる離隔を取っています。近接施工にはなりません。

 ――新底沢大橋は5径間連続PCラーメン箱桁橋とのことですが、その上部工形式を採用した理由は

 湯川 景観上、既設橋梁である底沢大橋(トラス橋)と形式を合わせることが望ましいと思いますが、既設橋梁建設当時と違いPC橋でも支間をとばすことができるようになっています。新底沢大橋の最大支間長は115mで、その支間長ではラーメン箱桁橋を採用しています。

 ――架橋地は新小仏トンネルの西側で急峻な地形になると思いますが、橋脚高も高くなりますか

 湯川 最大橋脚高は、P3橋脚の49.2mです。



新底沢大橋架橋予定地(P3橋脚付近)


 ――橋梁とトンネルは同時施工ですか

 湯川 その計画です。

 ――事業完了見込みは

 湯川 新小仏トンネルの工期は69カ月で予定しますが、リニューアルプロジェクト、耐震補強工事などの兼ね合いもあります。まずは契約を締結し、関係機関の皆様のご協力を頂きながらスピード感をもって進めていきます。


相模湖付近 下り線に約2kmの付加車線設置

 JR中央本線が近接する現場環境

 ――相模湖付近の付加車線設置工事の工事概要は

 湯川 相模湖東出口~相模湖IC間の下り線の約2kmが事業区間です。JR中央本線が近接し、国道20号が直下に走っている現場環境ですので、その対策を取りながら安全に工事を進めることが肝要になります。

 工事は国道20号の切り回し、工事用道路の設置から着手していきます。本線については現在、施工計画を含めて橋梁詳細設計を実施しているところです。発注は、工事用道路や橋梁下部工の公告を2020年度第3四半期以降に予定しています。

 ――拡幅が必要な既設本線橋は

 湯川 相模湖高架橋(402m/鋼4径間連続鈑桁(1連)+鋼3径間連続鈑桁(3連))、与瀬第一橋(125m/鋼3径間連続鈑桁)、与瀬第二橋(125m/鋼3径間連続鈑桁)、新奥の沢橋(141m/鋼2径間連続箱桁)の4橋です。



与瀬第一橋。中央本線と近接し、国道20号が真下に走っている


 ――本事業区間でもリニューアルプロジェクトの予定はありますか

 湯川 相模湖高架橋などはリニューアルプロジェクトの対象になっていますので、施工計画のなかであわせて検討していきます。