道路構造物ジャーナルNET

2020年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ④横河ブリッジ

国内新設道路橋は20万t前後を期待 テレワークを継続して実施へ

株式会社横河ブリッジ
代表取締役社長

髙田 和彦

公開日:2020.09.28

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。今回は、横河ブリッジの髙田和彦社長とIHIインフラシステムの石原進社長の記事を掲載する。

 ――業界を取り巻く環境については
 髙田 新型コロナウイルス感染拡大の中、公共事業の国内橋梁事業に関しては、発注が多少遅れている案件もあるが、影響は比較的小さく推移している。当社では緊急事態宣言下の工事の休止はなく、さらに幸いにも現時点で新型コロナウイルス陽性者は一人も出ていない。先行きの見通しについて予断は許されないが、それほど悲観的に捉えていない。
 昨年度の新設道路橋については端境期となり、約13万tと前年に比べて非常に落ち込む結果となった。今年度は当社の調査によると、20万t前後までの回復を期待している。
 ただ、新設橋梁の発注は将来的に減少傾向にあることから、保全工事に注力していく。マーケットは着実に拡大しており、今後の事業軸の一つと捉えている。保全工事では床版の取替工事のマーケットが大きいことから、床版を中心に省力化・品質の高い製品などの研究開発を推進している。今回、道路橋リニューアル工事や新設工事での工期短縮や橋梁部材の品質向上を図るため、通信管路の配置を考慮したプレキャストコンクリート壁高欄「ラピッドガードフェンス」を開発し、採用に向けて積極的に営業活動を展開している。
 ――昨年度の業績は
 髙田 昨年度は売上高719億円、営業利益84億円、経常利益84億円となった。売上高は目標に届かなかったが、営業利益、経常利益ともに目標を超えるとともに、前年度を上回り、一定の成果は出せたと考えている。
 ――20年度の見通しは
 髙田 今年度は売上高800億円、受注量36,000t、生産量45,000tを目指す。第1四半期終了時点では、ほぼ目標通りに推移している。


中国地方整備局 倉敷立体高梁川大橋鋼上部工事

 ――海外事業については
 髙田 コロナ禍の影響を受けている。現時点で工事が行われているのはミャンマーのバゴー橋とヤンゴン・マンダレー鉄道橋補修のみ。バングラデシュのカルナ橋はベトナムの工場で上部工の製作を行っていて順調に進んでいて、製作完了が間近であるが、完了後は保管することとなるだろう。アフリカの案件は工事途中であったが、全員引き上げてきた。
 このため、今年度の売上見通しは多少下方修正した。ただ、昨年苦戦していた精密機器のフレームを提供するアドバンストエンジニアリング事業が回復傾向にあるため、下方修正分を相殺できるとみており、全体売上には影響しないと想定している。
 海外事業は国内橋梁事業に次ぐ、そして保全事業と並ぶ重要な事業軸として捉えている。今後も海外事業を拡大していく方針に変わりはなく、継続して当社のリソースを注力する。
 ――新型コロナウイルス感染症対策については
 髙田 テレワークは以前から試みてきたが、なかなか実現に至らなかった。緊急事態宣言発令により、できない部門もあるが、設計や計画部門では8~9割近くまで実現した。解除後は、また出社する従業員も増えてきているが、できる部門は継続してテレワークを積極的に実施していく。まず、いろいろな方式で実施し、どのような形が良いのかを模索していく。
 テレワークは働き方改革にもつながる上に、女性や子育て世代、介護などに携わる人たちにも有用なツールで、通勤ラッシュの解消にもつながり、新しい生活様式にも呼応する。横河ブリッジホールディングス全体で積極的に実施していく方針である。
 ――そのほかには
 髙田 橋梁関連商品では、アルミ合金製検査路のKERO(ケーロ)やアルミ合金製常設作業パネルのcusa(キュウサ)などを中心に売上高25億円を目指す。最終的には50億円を目標に積極的な営業活動を展開していく。
(聞き手=佐藤岳彦、文中敬称略、2020年9月28日掲載)

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム