道路構造物ジャーナルNET

手取川橋の架替えにも着手

NEXCO中日本金沢支社 大規模更新が大幅に進む

中日本高速道路株式会社
金沢支社
保全・サービス事業部長

伊藤 公一

公開日:2020.08.07

大規模更新施工中は5工事19橋
 設計着手が1工事、未着手が2工事、手続き中が1工事

 ――大規模更新・大規模修繕事業のここ数年の実績と今後の予定は
 伊藤 工事が終了した橋梁は、日野川橋、早月川橋、太田高架橋です。現在施工中は5工事(対象橋梁数は19橋)で、設計着手が1工事(金沢高架橋)、契約済み設計未着手が2工事(橘高架橋、庄川橋)、契約手続き中が1工事(今庄IC~武生IC間床版取替工事(その1))となります。



施工中の九頭竜川橋

清水谷橋

庄川橋

常願寺川橋

布施川橋/神谷川橋

 ――対象橋梁のなかで合成桁の橋梁はありますか
 伊藤 魚津~黒部間構造物更新工事(平成29年度)のなかの神谷(こんたに)川橋のみとなります。
 ――支社管内では合成桁は少ないのですか
 伊藤 少ないと思います。神谷川橋は単純合成桁となります。ただ、合成桁の橋梁の損傷がそれほどひどくなく、リニューアルプロジェクトの対象になっていないだけかもしれませんが。
 ――床版取替時の補強も必要ないですね
 伊藤 そうです。大きな桁補強はありません。
 ――発注の工夫や施工上の対策、新技術・新工法の活用など、現場ごとに行っている対策は
 伊藤 発注の工夫では、基本契約方式を導入しています。不落・不調対策、および確実な事業進捗を図ることが目的です。リニューアルプロジェクトでは、施工条件が同じような床版取替工事が繰り返し行われます。このような場合、先行して実施した工事で得られる技術的な知見やノウハウを後続する工事へ反映させることにより、安全性や品質を向上させることができます。また、床版取替工事と舗装工事の分離発注や規制作業の分離、昼夜連続施工を昼間施工に変更したりしています。

床版同士の連結は縦締めPCを採用
 壁高欄まで一体化したプレキャストPC床版

 ――金沢支社独自の施工上の特色として、PCの縦締めで継手を使用しないことがありますが、その理由とメリット、継手構造と違うことで注意すべき点を教えてください
 伊藤 全国に広めようとして行っているわけではありません(笑)。管内は雪氷期間があって1年の半分近く工事ができず、交通混雑期も同様ですので、工期がGW明けからお盆までとお盆後から雪氷期間前までと限られています。継手の数が多ければ多いほど、間詰め幅が広ければ広いほど、現場打ちが多くなればなるほど、現場作業が増えて工程が取られてしまいます。それらをなくして、縦締めすることによって、現場作業と分離できますので現場での工程を短縮することができ、かつ安全に進められます。そのような理由から採用しています。
 壁高欄も同様で、現場で床版が完成した後につくるとなると鉄筋型枠、コンクリートを床版据え付け後に別工程でやらなければならず、それを待っていないとなりません。
 ――壁高欄まで一体的にプレキャスト化しているのですか
 伊藤 現在施工している工事は一体型で、架設現場に搬入する段階では壁高欄付きの床版としています。今後、働き方改革で現場も週休2日となってくると、施工できる時間も限られてきます。昼夜連続施工も、現在は業界的に全国で工事を行っていますので、2パーティー用意しなければならなくなると負担になります。そのため、基本的に昼間施工であれば受注がしやすいという業界の声も聞きました。そうすると全体的には施工期間は長くなるので、短縮するためには現場での作業を減らすことが必要です。ループ継手や場所打ち壁高欄をやめれば、そこで時間がかせげます。昼間に作業を行いつつも、ある程度のボリュームをかせいで施工していくことができると考えました。


壁高欄一体型プレキャストPC床版/縦締めPC鋼材

 ――縦締めや壁高欄一体型プレキャストPC床版での施工にあたって注意すべき点は
 伊藤 せっかく間詰めをなくしているので、そこの施工でしょうか。工場製作の床版は横方向の緊張が入っていますが、基本、間詰め部分はRC構造なので、PC、RC、PCと橋全体的にはPC橋にはなっていません。そこをいかに一体化して、1枚のPCの床版として仕上げるところは気にしています。せっかくやるのであれば、いいものにしたいという気持ちはあります。
 ――簡単には壊れない床版形式だと思いますが、もし損傷したときには、どのように修繕をするのですか
 伊藤 100年の耐久性があると考えています。次回は架替えも含めて改めて考慮すればよいのではないでしょうか。
 現在、リニューアルができるということは、同じことがもう1回できると思います。管内は1年の半分近くを雪氷期間が占めていて、限られた時間内に施工するということなので、経済性だけではなくて、工期短縮、省力化、効率化に着眼して行っています。
 ――やはりイニシャルコストは上がりますか
 伊藤 当然上がりますが、それ以上に得るものが大きいと考えています

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