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橋梁の災害復旧工事は今年度で完了予定

熊本県 熊本天草幹線道路 (仮称)第二天草瀬戸大橋の建設が進捗

熊本県
土木部長

宮部 静夫

公開日:2020.02.28

橋梁3,604橋とトンネル153本を所管
 供用後51年以上経過した橋梁は約4割

 ――保全事業について伺います。管理橋梁の内訳は
 宮部 全体で3,604橋を維持管理しており、橋種別ではPC橋1,456橋(40%)、RC橋1,800橋(50%)、鋼橋304橋(8%)、石橋19橋(1%)などとなっています。
 供用年次別では、10年以下が96橋(3%)、11年~20年以下が246橋(7%)、21年~30年以下が521橋(14%)、31年~40年以下が552橋(15%)、41年~50年以下が680橋(19%)、不明を含め51年以上が1,509橋(42%)です。10年後には、不明を含め供用後51年以上となる橋梁が約6割に達します。
 延長別では、100m未満が3,435橋と全体の95%を占め、100m以上200m未満が110橋、200m以上300m未満が35橋、300m以上400m未満が13橋、400m以上500m未満が4橋、500m以上が7橋です。
 路線別では、国道1,084橋、県道2,520橋となります。


橋梁の内訳

 ――管理されているトンネルは
 宮部 153本を管理していて、工法別では在来工法71本(46%)、NATM工法68本(44%)、開削工法14本(10%)となります。
 供用年次別では、50年以上が25本(16%)、40年以上50年未満が31本(20%)、30年以上40年未満が32本(21%)、20年以上30年未満が36本(24%)、10年以上20年未満が22本(14%)、10年未満が7本(5%)です。
 延長別では、50m以上200m未満が73本で全体の48%を占めています。次いで、200m以上500m未満が41本、50m未満が18本、500m以上1,000m未満が16本で、1,000m以上は5本あります。
 路線別では、一般国道98本、主要地方道25本、一般県道30本となります。


トンネルの内訳

 ――橋梁とトンネルの定期点検結果について教えてください
 宮部 橋梁については、判定Ⅳ(緊急措置段階)はありませんでした。Ⅲ(早期措置段階)が138橋、Ⅱ(予防措置段階)が743橋、Ⅰ(健全)が2,690橋で、判定Ⅰが約75%を占めています。Ⅱも含めれば約96%となっていますので、Ⅲの138橋について着実に対策を進めていきます。
 トンネルについてもⅣはありません。Ⅲが73本、Ⅱが77本、Ⅰが3本となっています。Ⅲが約47%と約半分を占めていますので、計画的な修繕を進めていかなければならないと考えています。


橋梁の点検結果


トンネルの点検結果

 ――点検を進めてみての全般的な劣化状況は
 宮部 鋼橋では橋面からの漏水および土砂堆積によって、桁端部に錆の発生が見られています。PC橋では後打ちコンクリートの剥離による横締鋼材の支圧板の露出などが見られる橋梁がありましたが、数としてはそれほど多くありません。RC橋では経年劣化による、うき、剥離、鉄筋露出が発生しています。
 ――部位ごとでは
 宮部 全般的に経年劣化による損傷が発生しています。桁、橋脚ではひび割れ、剥離、鉄筋露出、床版では剥離、鉄筋露出に加えて遊離石灰、地覆ではひび割れ、断面欠損、高欄では錆の発生が見られています。


鋼橋の損傷事例(左:県道阿蘇吉田線 郷ヶ谷橋/右:同線 御竈門橋)


コンクリート橋の損傷事例(左:県道坂本人吉線 大河内橋/右:県道田底鹿本線 分田橋)

 ――判定Ⅲのトンネルではどのような損傷が発生していますか
 宮部 覆工コンクリートにひび割れ、うき、剥離、剥落の変状が発生しているトンネルが71本、漏水が21本、背面空洞が13本となっています。外力性変状、経年劣化、乾燥収縮、地下水の影響などが変状要因と考えられます。
 ――背面空洞の13本の対策は
 宮部 現在、6本の背面空洞注入工が完了しており、5本の対策を実施中です。残る2本についても、来年度対策に着手予定です。


トンネルの損傷事例(左:県道阿蘇吉田線 火の山トンネル/右:県道本渡下田線 菅の原トンネル)

措置が必要な橋梁479橋のうち2018年度までに144橋の対策完了
 塩害やアルカリ骨材反応などによる劣化は見られず

 ――橋梁長寿命化修繕計画に基づいた対策の進捗状況は
 宮部 県では、橋長15m以上については2011年3月に、橋長15m未満については2012年6月に橋梁長寿命化修繕計画を策定して、橋梁の延命化と修繕費用の縮減および平準化に取り組んできました。2014年には国土交通省により近接目視による定期点検をもとに、「点検・診断・措置・記録」というメンテナンスサイクルを確実に行うことが義務付けられましたので、橋梁長寿命化修繕計画の方針を踏襲しつつ、対策を進めています。
 具体的には、判定ⅡまたはⅢの橋梁については橋梁長寿命化修繕計画に基づき、必要な措置を講じています。診断の結果、措置が必要な橋梁が479橋(Ⅱも含む)となりましたので、そのうち2018年度末までに144橋の対策を実施しました。
 ――具体的な対策事例は
 宮部 県道小川嘉島線の森崎橋は、1960年に架設された橋長80.1mのポステンT桁橋ですが、老朽化にともない鋼製支承の腐食が見られましたので、2019年度にゴム支承への交換を実施中です。


県道小川嘉島線 森崎橋 鋼製支承の腐食

 ――経年劣化や疲労などによる上部工補修・補強の2019年度を含む過去3年間の実績と今後の施工計画を教えてください
 宮部 2019年度の予定箇所を含めて過去3年間で200橋程度の補修を行ってきました。
 ――具体的な補修内容は
 宮部 桁のひび割れ補修や断面修復が主なものとなります。
 ――床版取替えや部分打ち換えの実績はありますか
 宮部 老朽化に伴う床版打替えの実績はありません。
 ――床版防水工の施工状況は
 宮部 現在、舗装の老朽化などにともない、舗装工を施工する場合には床版防水を併せて施工していますが、今後も同様の方針としていきます。採用する工法は、主にシート系床版防水工、塗膜系床版防水工です。
 ――塩害やアルカリ骨材反応などによる劣化は発生していますでしょうか
 宮部 コンクリート構造物における塩害、アルカリ骨材反応などによる劣化は顕在化していません。
 ――海岸部での飛来塩分などの影響や、山間部での凍結防止剤散布の影響での塩害は見られませんか
 宮部 海岸部では被り厚を厚くするなどの対応を取っています。

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