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構造及び施工上の特徴を探る

首都高速道路 東京西局プロジェクト本部 小松川JCT、渋谷入口が供用へ

首都高速道路株式会社
東京西局プロジェクト本部長

高橋 三雅

公開日:2019.11.20

陸上部 既設π(パイ)型RC橋脚に拡幅桁を載せられるよう横梁を改造して広げる
 既設部はコア削孔で切断し、人力ではつる

 ――陸上部については
 高橋 陸上部は7号小松川線本線に接続する部分となります。計画上のポイントとしては、既設の7号小松川線本線は鋼鈑桁RC床版構造ですが、橋面の拡幅または連結路の新設に際して、高架下が利活用されていましたので、新たに拡幅するための橋脚基礎は既設橋脚と同じ横断位置に設置しました。既設の橋脚はπ型RC橋脚で、その両脇に新設橋脚を配置しています。


陸上部工事概要図

 さらに、橋面を接続する箇所がありますので、拡幅する上部構造は基本的に7号小松川線本線と同じ鋼鈑桁RC床版構造を基本としています。そうすることによって、既設橋のRC床版と接合が容易にでき、現場施工も行いやすくなります。とくに制約のないところについては、同じ構造になっています。
 陸上部の大きな特徴はBP17~BP19区間で、新しい中央環状線方面の入口がS字の線形で外側から入ってきて、7号小松川線本線から分流して中央環状線方向の連結路の線形とが立体的に重なる点があります。上は本線拡幅、下はランプ新設ということで、上下関係をクリアしなければならない箇所については、既設のπ型RC橋脚に拡幅桁を載せられるように、横梁を改造して広げました。柱を1本追加して、さらにその基礎を入口の基礎と兼用させています。


陸上部下部工既設構造改良図

 既設の橋脚を生かして拡幅桁を支持させるために、(赤い範囲を)再構築しています。これ自体はよくある改造になると思いますが、既設は7号小松川線上り線を支持している橋脚ですので、前後に上部工荷重および活荷重を支持させられる仮設ベントを設置して仮受けをしました。その仮受け状態のなかで、横梁をコア削孔にて切断し、鉄筋を人力ではつりだしてからつなぎ、再構築をしています。


BP18施工ステップ

横梁をコア削孔にて切断

基礎橋脚を新設しなければいけないところは新設していますが、既設の橋脚を利活用できる場所については、極力、既設橋脚を再構築してJCTをつくりあげています。これが大きな特徴です。


改良後のBP18橋脚

 ――仮受けは既設橋脚の前後にベントを立てるイメージですね。この狭さでよくできましたね
 高橋 橋脚前後に仮受けベントを設けました。仮受けベントの下は地盤改良を行いました。
 ――再構築した橋脚はRCですか鋼製ですか?
 高橋 RCです。
 ――再構築した橋脚の拡幅した箇所(横梁)もすべてRCですか?
 高橋 そうです。
 ――プレキャストではなくて現場打ちで施工したのですか?
 高橋 そうです。
 ――橋脚も太らせているという考えでいいでしょうか?
 高橋 2基同じようなことを行っていますが、BP18は2.8m BP19は1m、横梁を橋軸直角方向に拡幅をしています。
 ――はつり方は
 高橋 人力です。
 ――施工箇所は人家連坦ですが、騒音対策は
 高橋 防音シートなどできる限りのことは行いました。
 ――板橋・熊野町JCT間改良で使用した鋼殻セルは考えなかったのですね。ヤードが限定されていて、あそこでは鋼殻セルの基礎補強を行って、現場打ち?鋼管杭?の合わせ技みたい形で橋軸方向に伸ばす形でやりましたよね。小松川でも都道があるから、こちら側は広げられないから、圧縮するような考え方はこの時はまだやっていなかったのですか
 高橋 板橋・熊野町JCTの場合はラケット橋脚で車線拡幅をするときに橋脚のサイズも全体的に一回り大きくしなければならならず、ベント状のものをそのまま本体橋脚に活用したものです。
 ここでは、高架下の利活用に悪影響を及ぼすことがないよう、横断方向の橋脚位置を同一配置とすることを基本としています。
 ――施工者は
 高橋 下部工は㈱フジタ、上部工は川田工業㈱です。
 ――舗装は
 高橋 大成ロテック㈱です。


舗装敷設状況

舗装敷設状況②

 ――工期は
 高橋 2013年11月の工事着手から約6年となります。
 ――河川を傷めないように行ったことは
 高橋 当然ですが、非出水期のなかで着手および復旧をすべて行い、出水期に備えるということで、時期を厳守しました。埋め戻しでかなり時間がかかりましたし、出水期は資材の仮置きもしませんでした。1年の中で11~5月の7カ月間だけで作業をしました。
 堤体に荷重をかけないように、起重機船で架設を行うことや、どうしても荷重がかかるときは下を補強したうえで多軸台車を用いて荷重分散をさせました。船架設を活用しつつも、堤体内の作業においても極力、堤体に荷重をかけないように留意しました。仮設ベントも中川の河川内に杭を立てて、跨ぐようなものにしました。
 架設も船を活用しましたが、河口から交差橋梁がいくつかあるので船の大きさも限られていました。120t吊の起重機船が上限でしたので、小割での架設になりました。しかも、架設位置が供用中の7号小松川線、中央環状線に近接した箇所あるいは直上でしたので、何回か通行止めを行いました。
 ――大型クレーンは使用しなかったのですか
 高橋 7号小松川線の直上は120t吊起重機船と200t吊クローラー台船を使用して架設しました。中央環状線の直上は120t吊起重機船と大型トラッククレーン(360t吊、550t吊)を使用して架設しました。
 ――7号小松川線をまたぐ部分がありますが、塗装の工夫は。NEXCOでは溶射を採用して耐久性を上げるケースが多いですが
 高橋 通常の重防食塗装を採用しています。

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