HOMEインタビュー一覧2018年度は過去最高益に 保全、海外事業へ重点

インタビュー詳細

2019年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑩IHIインフラシステム

2018年度は過去最高益に 保全、海外事業へ重点

株式会社IHIインフラシステム
代表取締役社長
石原 進 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。今回は、IHIインフラシステムの石原進新社長の記事を掲載する(なお、今回はインタビューの内容と『人と話題』欄記事の内容を再構成したものを届けています)。


 ――4月に社長に就任されました。これまでで心に残る仕事は

 石原 20代で初めてインドネシアのスマトラ島へ赴き、約3年間、ダム工事現場で所長を務めた。簡単なインドネシア語と身振り手振りで現地作業員とコミュニケーションを取るところからのスタートだったが、私自身に成長をもたらす貴重な体験となった。今は折に触れ、若手社員に海外赴任はこれまでにない力がきっと身に着くと話している。

 ――2018年度業績と主な受注案件は

 石原 売上高は橋梁部門が前年度比17%増となったが、全体としては海外事業の売上高割合が大きかった17年度を除いてほぼ例年並みの水準となった。経常利益は47億円で過去最高益となり、経営面における改善の取り組みが業績に反映されたものとみている。

 具体的な案件としては、東北地方整備局の桑折高架橋、中部地方整備局の福田第一高架橋、ラオス国ナムニアップ水門鉄管工事などのほか、台風21号で被災した関西国際空港連絡橋の損傷桁撤去、製作事業にも携わった。関西国際空港連絡橋の復旧では作業者増員やシフト体制の変更などで、約7カ月での復旧を達成した。

 ――今年度以降の見通しは

 石原 今年度の受注総額は昨年度並みに推移する見込みだ。橋梁新設の発注見通しは全体的に厳しい一方、既存橋梁の保全や修繕、更新工事など保全事業の割合はさらに高まるだろう。

 国内での保全事業、および海外での新規案件・保全事業受注は今後、経営面の重点項目となるとみている。国内ではすでに淀川大橋の床版取り替え工事などを施工しているが、将来的にはグループ会社のIHIインフラ建設の知見を活かし、RC橋、PC橋も含めた保全事業についても受注拡大に向け取り組みを進めたい。

 このほか、関西圏では阪神高速道路の大阪湾岸道路西伸部プロジェクトが進んでおり、大型新設工事が期待できる。

 ――人材育成も含めた海外事業の展開について

 石原 アジア地域およびトルコを含むヨーロッパを中心に提案を重ねている。今後、重点地域で継続的に案件受注を重ねるなどの取り組みにより、採算性の向上も進めていきたいと考えている。

 生産・施工体制面でも現地サプライヤーとの提携、現地人材の雇用と育成など、「地場化」を進めている。現地工事で育てたベトナム人エンジニアを他地域に派遣するなど、若い人材を積極的に育成し、活かしていくものだ。架設作業などで国内の若手エンジニアを派遣し、技術・経営両面で人材の交流も進めたい。

 海外事業としては年間に100~200億円、将来的には700億円の売上高を目指していく。

 ――設備投資について

 石原 投資額は約40億円の見込みで、昨年9月の台風21号で倒壊したクレーンの建て直しのほか、塗装関連も含めた効率化のための設備導入、レイアウト変更などで最適化、省力化をさらに進めたい。また、BIM、CIM関連の投資による生産・管理システムの統合的な管理や、顧客の要望の大きい現場工期の短縮化に向けた研究開発への投資も進める。

 ――新事業・新製品は

 石原 昨年は長周期振動にも対応できるリニアモータ制御による軽量・小型の制振装置を開発した。

 今後は前述のRC橋、PC橋も含めた保全事業の受注に関連して、施工実績に基づく知見を活かした橋梁の点検・診断技術に関する研究開発や床版の取り替え装置の開発なども進めたい。



関西国際空港連絡橋の復旧工事


 ――新規受注の今後について

 石原 海外事業を通じて感じるのは、高品位なモノづくりと短納期の両立、いわば良いものを早く作れる技術力が当社の強みであるということ。この技術力を維持、向上させるには国内での橋梁製作の実績をさらに重ねていく必要がある。国内における新規橋梁案件は今後も減少していくだけに、その継続的な受注に一層力を入れていく。

 ――従業員に対しては

 石原 弊社の健康経営宣言をもとに従業員や家族の健康づくりの支援や、誰にとっても働きやすい環境づくりを進め、従業員が生き生きと能力を発揮できるように取り組んでいく。定時退社日やプレミアムフライデーには、社員へ定時退社を呼びかけている。

 ――社長自身は

 石原 常に出張続きで、夕食は新幹線での駅弁で済ませることが多い。社員には健康づくりや休養を呼びかけているが、自分は仕事と休みのメリハリがついていないのかも。

 ――趣味は

 石原 インドネシア時代に始めたゴルフで、長く続けているが、なかなか上達しない。それでもプレーをしていると楽しいので、誘いは積極的に受けて、貴重なリフレッシュの機会にしている。

(聞き手=八木香織、構成責任=井手迫瑞樹、文中敬称略 2019年10月21日掲載)