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インタビュー詳細

2019年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑤JFEエンジニアリング

海外事業の継続的な受注を目指す 保全・改築工事は社会的要請で本格化

JFEエンジニアリング株式会社
専務執行役員 社会インフラ本部
川畑 篤敬 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第3回は、JFEエンジニアリングの川畑篤敬専務執行役員と瀧上工業の瀧上晶義社長の記事を掲載する。


 ――昨年度の業績は

 川畑 昨年度の受注高は900億円で、内訳は橋梁約680億円、その他220億円。橋梁では海外橋梁が約200億円となる。売上高は740億円で、橋梁540億円、その他200億円となった。受注高、売上高とも最高額に近い数字となった。

 ――需要環境・業界の動向は

 川畑 今年度の国内新設道路橋の発注量は20万tを下回ると見込む。中部地区の名二環道路などの発注が完了したことから新設橋梁の発注は端境期と言われていたが、第1四半期では予想以上に入札公告が少ない。ただ、中期的には高速道路の4車線化や大阪湾岸道路の延伸などが計画されており、来年度以降は20万t前後で推移すると見ている。

 既存インフラの防災・減災対策や老朽化対策などの保全・改築工事は社会的要請から本格化するとみている。なかでも、首都高速や阪神高速など、都心部の道路の修繕・改築は活況で、当面はこの傾向が続くと想定している。

 ――今期の状況は

 川畑 今年度は、受注高では約750億円で、内訳は橋梁570億円、その他180億円。売上高は約740億円で橋梁560億円、その他180億円。

 上期では、妙高大橋架替上部工事(北陸地方整備局)、入江富士見線(桜橋)上部工製作工事(静岡市)、県議会承認後の10月に本契約となる吉間田滝根線7号橋(福島県)などを受注した。なかでも、妙高大橋架替上部工事は既存のPC橋がPCケーブルの腐食・破断など損傷が激しいことから鋼橋に架け替えることになった案件で、鋼橋の優れた耐久性が評価されたものと考えている。

 その他の鉄構インフラでは、国際コンテナ戦略港として選定された京浜港、新本牧ふ頭整備事業が着工され、護岸、岸壁整備の事業最大化が見込まれている。また、物流、クルーズ需要拡大により新設岸壁の早急な整備が求められており、現地工期を大幅に短縮できる「アーク矢板土留付ジャケット」を開発し、宮城県の仙台塩釜港や熊本県の八代港に採用されている。

 ――海外事業については

 川畑 ミャンマーのJ&Mスチールソリューションズの拡張工事が完了、年産3万tに拡大した。日本仕様の防食仕様を施せる新規ブラスト設備や塗装設備を導入したことにより、ODA案件などで求められる本邦技術をベースとした高耐久性仕様の鋼構造物をより効率的に製作することが可能になった。バングラデシュの橋梁工事、ミャンマーのティラワ港のジャケット式桟橋、スリランカのケラニ高架橋の曲線箱桁も順調に出荷した。人材交流も広がり、優秀な技術者を日本に派遣し、技術移転と能力の向上を進めている。

 今後も南アジア、アフリカ地域を中心に、ODA案件の出件が続くと想定しており、年間100億円程度の継続的な受注を期待している。ミャンマー国内では近隣国ODA案件向け橋桁の受注・出荷により外貨を獲得することで同国経済に貢献できるようになっている。ODA以外では、従来のミャンマー建設省からの発注に加え、多様な発注者からの受注を増やし、港湾ジャケットなどの橋梁以外の鋼構造物への拡大展開も図っていきたい。



グムティ橋(バングラデシュ)


気仙沼大橋/渋谷歩道橋


 ――その他には

 川畑 設計、製作、施工の全職種でグローバルな人材を登用し、各人材の強みを生かした最適配置に取り組んでいる。その一環として、フィリピン人やミャンマー人の人材登用に加え、製作管理を中心にインド人の国内外での活用も推進していきたい。

 人材の確保・育成に関しては、中長期的な観点からの構築が必要となる。今回の国会で成立した改正品確法では、発注者の責務として中長期的な発注の平準化、計画開示がうたわれている。今後の経営戦略および設備投資や人材確保・育成の観点から、発注者の中長期的な計画・展望の開示を期待している。

(聞き手=佐藤岳彦 文中敬称略 2019年9月23日掲載)