HOMEインタビュー一覧鹿児島県 藺牟田瀬戸架橋が大詰め

インタビュー詳細

北薩横断道路も整備が進む

鹿児島県 藺牟田瀬戸架橋が大詰め

鹿児島県
土木部
道路建設課長
島田 公史 氏

 鹿児島県は本州の最南端に位置する。古代は薩摩隼人と呼ばれ、独自の文化を誇った。鎌倉時代以降は、島津氏が入植、南北朝・戦国を経て、領国を掌握し、江戸時代には島津斉彬、小松清廉、大久保利通、西郷隆盛などの名士を輩出して討幕を果たし、明治には薩長政府の一端を担った。鹿児島市内にはその遺構がたくさん存在し、その伝統を垣間見せている。現在は日本有数の食糧基地として豚、肉用牛、ブロイラーなどの畜産物や鶏卵などを移出している。芋焼酎も大変美味く、「つきあげ」はおかずとしても酒肴としても最高の食べ物の一つだ。そうした生産物をスムーズに運ぶためにも、また観光などの産業を振興するためにも高速道路を中心とした道路整備は重要だ。土木部道路建設課の島田公史課長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


離島も含め南北600kmの広大な県土

 本土は大半がシラスに覆われた雨に弱い地質

 ――鹿児島県は、本土は薩摩と大隅、島嶼部は与論島までと広い県域となっていますが、地勢的特徴と道路事業に対する考え方は

 島田課長 本県は本土が鹿児島湾を挟んで薩摩半島と大隅半島に分かれており、また奄美諸島や種子島、屋久島などの離島が県土の27%を占めています。本土から最南端の与論島まで南北600kmの広大な県土を有し、多様な気候風土が特徴となっています。

 本土の大半がシラスに覆われ雨に弱い地質であるとともに、台風の常襲地帯であることから、豪雨による土砂災害などの自然災害が多く発生する厳しい自然条件になっています。また、九州の最南端に位置しているため通過交通が少ないのも、本県の特徴のひとつとなっています。

 道路事業では、高速道路網を整備して、県民の生活を守るのと同時に、生産高が全国でも有数で日本の食糧基地と認識している県の農林水産物を確実に中央に届けて、県民の所得を上げていくことを中心と考えています。

 ――薩摩側の道路整備に比べ、大隅側の整備が遅れているように感じます

 島田 大隅は大隅地域振興局が所管していますが、東京の23区と同じくらいの面積となっています。地理的な特性で言うと南部は急峻な地形で、大きな町や市が形成されていないということで、交通の隘路になっているのは否めません。

 ――大隅管内で整備予定の路線は

 島田 大隅縦貫道などです。



道路改良率は77% 移動手段を自動車に依存

 東九州道や南九州西回り自動車道の整備が進む

 ――道路網の現状は

 島田 県管理の国道・県道の幅員5.5m以上での改良率は77%となります(2016年4月1日現在)。公共交通機関が未発達なことから、移動手段を自動車交通に大きく依存しています(割合は51.7%。大都市圏は約30%)。そのため、道路交通ネットワークの形成は、地域間の交流連携の強化、産業や観光の振興のほか、地域の安心・安全を確保する上でも極めて重要であると考えています。骨格となる高速道ネットワークを形成するため、高規格幹線道路や地域高規格道路の整備を重点的に行っています。

 高規格幹線道路のうち、「九州縦貫自動車道」は全線4車線整備済みであり、現在、「南九州西回り自動車道」と「東九州自動車道」が直轄やNEXCO西日本の事業により整備が進められています。東九州自動車道は鹿屋串良JCTまで開通しており、志布志IC(仮称)までが2020年度の開通を目指して直轄で事業を進めてもらっています。

 ――志布志港は国際バルク戦略港湾(穀物)としても注目されています

 島田 穀物、飼料のほか、木材は8年間、全国出荷高が日本一となっています。整備されれば、物流面に資する道路となります。地域高規格道路「都城志布志道路」とともに志布志の縦横の物流を支援していく形となります。


地域高規格道路は県内で7路線が指定

 奄美大島では宮古崎トンネルなどの整備を進める

 ――地域高規格道路については

 島田 県内では7路線が指定されています。このうち、直轄事業により「鹿児島東西幹線道路」の整備が進められています。県において「北薩摩横断道路」、「南薩縦貫道」、先の「都城志布志道路」、「大隅縦貫道」の整備を進めていて、2017年3月に南薩縦貫道が現道を利用する区間も含めて全線開通しました。残りの3路線の整備も進めています。

 ――南薩縦貫道は4車線ですか

 島田 完成2車線と4車線となります。

 ――離島の道路整備状況については。甑島、長島架橋、屋久島、種子島、奄美大島とありますが

 島田 奄美大島では、2010年、12年に集中豪雨や台風により多数の交通途絶箇所が発生して、集落が孤立するなど、住民の生活に多大な影響が生じました。そのため、島内を南北に貫く国道58号やその代替路の整備など、災害に強い道づくりを進めています。このうち、県道名瀬瀬戸内線においては、奄美市と大和村境の根瀬部国直工区の宮古崎トンネルなどの整備を進め、災害に対して安全で信頼度の高いトンネルを整備することにより、交通途絶の恐れのある箇所の解消を図るなどをしています。

 ――交通途絶のある解消はトンネル化ですか

 島田 トンネルだけではなく、のり面等の危険箇所をバイパス化したりしています。ただ、地形的にトンネルにする箇所が多くなっています。

 ――甑島は

 島田 甑島列島では中甑島と下甑島を結ぶ藺牟田瀬戸で、架橋の整備を進めています。架橋が完成すれば甑島はひとつとなり、全島的な陸上交通ネットワークが形成され、公共施設などへのアクセス向上、施設の集約や効率的な配置による行政コストの軽減、防災・救急医療体制の向上、さらには観光業をはじめとする地域産業の振興に大きく寄与するものと期待しています。


藺牟田瀬戸架橋(上:鹿児島県提供、下:井手迫瑞樹撮影)