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管理延長は 1253km 672橋、17トンネルを管理

沖縄県 厳しい塩害、ASRにどのように対応していくか

沖縄県
土木建築部
前 道路管理課長

多和田 真忠

公開日:2019.05.09

鋼橋 一般部でも腐食進む 全面塗替えで対応
 コンクリート橋 塩害により鉄筋腐食によるひび割れが発生

 ――2018年度の支承、伸縮装置の取替え、ノージョイント化の実績は
 多和田 支承取替えは1件(八重山)、伸縮装置取替えは2件(北部1/八重山1)です。ノージョイント化はありません。
 ――どのようなものに取替えたのでしょうか
 多和田 支承はゴム製支承、伸縮装置はゴム系(北部)と突合せ型(八重山)に取替えました。
 ――支承は琉球大学の下里先生などが亜鉛メッキ(SG)処理をしたものを推奨していますが、沖縄県ではゴム支承でも底版や丁版に施工していますか
 多和田 ゴム支承での実績はありません。
 ――伸縮装置の取替では、さきほどお話されましたが、端部からの水の影響で損傷するということで、最近では止水性をともなった伸縮装置としていますが、基本的にそれほどもたないので、フェイルセーフで受樋を採用する事例もありますが、沖縄県では
 多和田 採用例は今のところありません。
 ――塩害、ASR反応については先ほど少しお話いただきましたが、改めて
 多和田 周囲を海に囲まれ、1年を通して高温多湿という環境から、主に飛来塩分による塩害が多く発生しており、一部の構造物でASRの発生も見られています。主な劣化構造物は、復帰前後~平成初期に建設された構造物が多い傾向にあります。


塩害状況①(旧古宇利大橋)

塩害状況②(高平橋)


ASRの発生状況

 鋼上部工の場合、エッジ部やボルト、添接板、フランジ上面やフランジとウェブとの接合面などの腐食が多く見られ、一般に言われるように、内桁において顕著な腐食が見られています。特に、ボルト部の腐食が著しく、ボルトの防錆が課題となっています。


塩害状況③(那覇大橋)

塩害状況④(武那田原大橋)

 また、伸縮装置からの漏水の影響もあると思われますが、桁端部や鋼支承の腐食も多くみられています。
 沖縄県の場合、一般部でも腐食が進行している場合がほとんどであることから、部分塗替えではなく、全面塗替えを行っているのが現状です。塗替えの際には、「沖縄県鋼橋塗装マニュアル(案)」の仕様に基づいた塗装系としています。課題のボルト防錆についても、マニュアルの検討委員会作業部会で継続して取り組んでいます。
 普通鉄筋を用いたコンクリート上部工や下部工の場合、主桁フランジや横桁、下部工の角部、RC床版下面、地覆コンクリートなどで、塩害による鉄筋腐食によるひび割れが発生しているのが多く見られています。古い橋梁の場合、コンクリートがはく落しているケースもあります。
 補修の際は、コンクリートを斫って鉄筋防錆を施し、断面修復を行うのが一般的ですが、必要に応じて含浸材等の表面被覆工法、流電陽極方式の防食工法等の併用や、事例は少ないですが外部電源方式による電気防食を採用した事例もあります。
 沖縄県で昭和50年代前半頃まで輸入され、遅延膨張剤骨材であることが確認されている台湾産骨材でのASR反応の発生が確認されています。橋台・橋脚等の水かかり部で多く発生しており、ひび割れ幅が大きい場合は注入等を行って、防水処理を施す対応を行っています。現状で確認された範囲では、劣化の程度はさほど大きくない場合がほとんどであることから、今後劣化の進展があるかなどについて、点検の際などに継続して確認していく必要があると考えています。


沖縄県のコンクリート構造物の耐久性向上策の変遷

 ――鋼橋の塗替え実績は
 多和田 2018年度は、識名大橋と伊是名橋の2橋で約4,000㎡を施工しました。2019年度は東風平(こちんだ)大橋の1橋で約2,700㎡ を予定しています。



東風平大橋の塗り替え


識名大橋の塗り替え

 ――塗替えの際に、溶射などの新しい重防食の採用はありますか
 多和田 新設では溶射などを行ってますが、塗替えでは採用した事例はありません。「沖縄県鋼橋塗装マニュアル(案)」に沿って、行っています。
 ――ケレンはどのように行っているのか、およびPCBや鉛を含む既存塗膜の処理はどのような方法を取っていますでしょうか
 多和田 PCBの事例としては、かなり以前のものとなりますが浦内橋の事例があります。2015年度の塗替え工事となりますが、剥ぎ取った塗膜や錆、PCBが付着している鋼材、工事で使用したブルーシート・ビニール・手袋・防護服・ペーパー・ローラなどについてはビニール袋に入れて、専用のドラム缶につめて石垣市管理区域内の保管施設で一時保管しました。その後、2015年度に廃棄物処理法に基づく環境省の認定を受けた処理施設を所有する業者(北九州)にて最終処分を行いました。
 ――昨年11月28日の環境省通知「高濃度ポリ塩化ビフェニル含有塗膜の調査について」で対応していることは
 多和田 対応は特にありません。県管理の鋼橋も少なく、古い橋は架け替えを行っております。
 ――1974年1月以前の鋼橋はないということでしょうか
 多和田 那覇大橋がありますが、現在架け替え施工中で処理をします。


架け替え中の那覇大橋

 ――鉛含有塗膜への対策は
 多和田 既存塗膜に含まれる鉛等の有害物質については、補修調査時に含有量試験を実施して、事前にその存在を把握することとしています。有害物質が含まれる場合は、湿式の塗膜剥離剤の使用および保護具着用等によるばく露防止対策を講じています。
 剥離後の塗膜カスや粉じん付着が想定される防護服・手袋などは、粉じんが発散しないようにドラム缶で保管して、作業完了後、県外(九州)の処分場へ搬出処分しています。
 ――耐候性鋼材を採用している橋梁は
 多和田 ありません

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