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インタビュー詳細

管理延長は 1253km 672橋、17トンネルを管理

沖縄県 厳しい塩害、ASRにどのように対応していくか

沖縄県
土木建築部
前 道路管理課長
多和田 真忠 氏

 沖縄県は、日本の最南西端に属する。県土は東西約1,000km、南北約400kmに及ぶ海域に49の有人島が点在する。亜熱帯の島々は、美しい自然を形成し、現在では年間約1,000万人の観光客が訪れている。現在では、沖縄本島や石垣島はもちろん、宮古地方にもその余波は及んでおり、来間大橋、池間大橋そして2015年に開通した伊良部大橋がその振興に寄与していることは言うまでもない。しかし、常夏の楽園は台風の常襲地帯でもある。ただでさえ周囲を海に囲まれており鋼・コンクリート共に構造物には厳しい環境だ。こうした環境の中でいかに沖縄の産業にとって欠かせない橋やトンネルなどの道路構造物を守っていくのか、沖縄県土木建築部道路管理課の多和田真忠課長(取材当時、現在は土木建築部技術・建設業課長)に取り組みを聞いた。(井手迫瑞樹)


池間大橋/伊良部大橋(井手迫瑞樹撮影)

来間大橋(井手迫瑞樹撮影)

PC橋が最多の234橋 鋼橋も112橋所管

 トンネルはNATMが15箇所 最長は於茂登トンネル

 ――管理橋梁の内訳は

 多和田 2011年度策定の橋梁長寿命化修繕計画に基づく管理橋梁は672橋です。その後、市町村に移管した橋梁や新設した橋梁がありますが、それは次年度(2019年度)計画見直し時に対応する予定です。

 橋種別では、鋼橋112橋(17%)、PC橋234橋(35%)、RC橋109橋(16%)、混合橋10橋(1%)、BOX橋207橋(31%)となります。供用年次別では、50年以上経過した橋梁が74橋(11%)、40~50年が62橋(9%)、30~40年が172橋(26%)、20~30年が150橋(22%)、20年未満が214橋(32%)です。

 延長別では、15m以上が 343橋、2~15m未満が329橋です(15~50m未満203橋、50~100m未満69橋、100~500m未満66橋、500m以上5橋)。

 管理延長約1,253kmの路線別では、補助国道(R330/R331/R390/R505/R507/R449)が158橋、県道が514橋となります。

 ――管理トンネルの内訳は

 多和田 17箇所を管理しています。工種別では、NATM工法が15箇所、矢板工法1箇所、開削工法1箇所となります。供用年次別では、30~40年未満が3箇所、20~30年未満4箇所、10~20年未満6箇所、10年未満4箇所となります。

 延長別では、100m未満2箇所、100~200m未満5箇所、200~300m未満2箇所、300~400m未満3箇所、400~500m未満1箇所、500~600m未満2箇所、600~700m未満1箇所、1100~1200m未満1箇所です。最長トンネルは石垣島にある於茂登トンネルで、唯一の矢板工法となります。1987年開通と建設年度が古く(32年経過)、漏水もありましたので、補修は一旦完了しています。路線別では、補助国道4箇所、県道13箇所です。


判定区分Ⅳは13橋 すべて対策済み

 同Ⅲは40橋中、27橋を対策済みまたは対策中

 ――点検を進めてみての劣化状況を教えてください。沖縄では塩害とASRが目立ちますが、意外に疲労による損傷もあるような気がします。さらに、部位ごとでは

 多和田 判定区分Ⅳの13橋については対策がすべて完了しています。Ⅲの40橋のうち、27橋が対策済みもしくは対策中です(2017年度末時点)

 コンクリート部材では、鉄筋腐食、ひび割れが発生している案件があります。沖縄ではご指摘のとおり、他府県に比べて飛来塩分量が多いということもあり塩害が多く、また、昭和50年代前半まで使用されていた外国産の骨材によるASRが発生している箇所もあります。とくに、海上橋の波しぶきが直接かかる飛沫帯箇所でASRによるひび割れが発生しているのが見られます。

 鋼橋では飛来塩分の影響や紫外線が強いこともあり、塗膜劣化が見られています。

塩害による劣化状況


塗膜劣化状況と塗り替え状況(東風平大橋)

 部位ごとでは全国のケースとほぼ似たような傾向ですが、伸縮装置からの水の影響で桁端部の腐食が多くなっています。また、鋼橋では添接部の損傷が目立っています。

 

鋼橋 内陸部において飛来塩分が想定の4~5倍になっているケースも

 床版はそれほど損傷は大きくない

 ――最近取材した愛媛県では紫外線劣化と飛来塩分で海岸部の鋼橋の桁については端部だけではなく押しなべて損傷が激しくなっていると取材で聞きました。沖縄の海岸部はいかがでしょうか

 多和田 海岸部の鋼橋の数はそれほど多くはありません。以前、コンクリートは塩害に強いというイメージがありましたので、県管理では海外部の古い橋梁ではコンクリート橋が多くなっています。ただ、鋼橋では桁端部だけでなく、ウエブとフランジの溶接部など全体的に損傷があります。海岸部は錆の進展が早いと言えます。

 ――国管理の内陸部の橋梁でも損傷が激しいと聞いています

 多和田 環境によって飛来塩分の影響を受けています。海岸から約2kmの内陸部の橋梁でも、国総研の資料で想定しているものよりも塩分量が4~5倍になっているデータもありました。

 ――九州大学の貝沼准教授なども国土交通省のmmdマップに頼らずに、実地の飛来塩分計測を行わなければならないとおしゃっていました

 多和田 確かに、海風の影響や地形など、環境で違います。

 ――床版や橋脚、地覆、高欄はいかがでしょうか。建設後50年以上や復帰前後の橋梁もかなりの割合を占めていて、未洗浄の海砂を使用しているケースもあると思いますので

 多和田 経年劣化はありますが、現在は内在塩分で床版が損傷している橋梁はほとんどありません。古い橋梁については架け替えも行っています。

 ――古い橋梁は非常に床版厚があり、損傷しにくいとも聞きました

 多和田 県管理では、橋長が長い古い橋は少ないのかもしれません。ボックスカルバートやRCT桁橋のほうが多くなっています。


トンネル 予算確保が課題

 2回目の定期点検で修繕計画を見直し

 ――トンネルの損傷については

 多和田 トンネルについては、2013年に17箇所の定期点検を行い、2014年度に長寿命化修繕計画を策定しました。50年間で合計180億円、当初の10年間は6億円/年、残り40年間で3億円/年の予防保全型の対策を計画していましたが、予算確保の問題もあり、計画どおりの進捗が図れていない状況です。

 当初の点検から5年が経過していることから、2018年度に2回目の定期点検を行っており、この3月末までに完了しました。今後、定期点検結果をもとに、2019年度に修繕計画の見直しを行う予定で、2020年度から対策に着手できるように取り組んでいきます。

 現状、於茂登トンネル以外はNATM工法ですので、若干のひび割れや漏水が見られる程度です。

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