HOMEインタビュー一覧鹿児島国道 鹿児島東西道路で九州地整の道路トンネル初のシールド工法を採用

インタビュー詳細

阿久根川内道路も一部工事がスタート

鹿児島国道 鹿児島東西道路で九州地整の道路トンネル初のシールド工法を採用

国土交通省
九州地方整備局
鹿児島国道事務所
前 所長
武藤 聡 氏

 国土交通省九州地方整備局鹿児島国道事務所は、直轄国道6路線300km超の管理と、南九州西回り道路や鹿児島東西道路などの改築事業を進めている。鹿児島東西道路では、JRなどを跨ぐ部分において、九州地方整備局で初めてシールド工法を用いたトンネル掘削が行われる予定だ。南九州西回り自動車道では、芦北出水道路が全面展開しており、阿久根川内道路の工事も始まった。管理の話題も含めて武藤聡所長(取材当時、現在は道路局 環境安全・防災課 沿道環境専門官)に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


 ――鹿児島国道事務所の管内の地勢的特徴と道路網の現状から教えてください

 武藤所長 鹿児島県は沖縄を除く日本の最南端に位置しています。その中で当事務所は、東シナ海と錦江湾に挟まれている直轄国道6路線(国道3、10、58、220、225、226の各号)313.6kmとこれからお話しする改築事業などを所管しています。

 管内は平地が少なく、例えば国道10号は片側が錦江湾、道路のすぐ上が斜面と海岸縁の狭い部分を縫うような路線になっています。国道3号線も同様に険しい地形となっており線形も厳しくなっています。気象的にも台風の通り道となっており厳しい状況に置かれています。

 整備の方針としては、まず県内では完結していない、地域の人・物の流れを支える高規格幹線道路のネットワークを最優先に進めています。

 当管内においては、東シナ海沿いを走る南九州西回り自動車道がその一つです。全線事業化はされていますけれども供用されていない道路があります。阿久根川内道路は、阿久根市と薩摩川内市を結ぶ事業区間ですが、南九州西回り道路でも一番遅い2015年に事業化されました。

 現在、昨年度(2018年度)に漸く一部分で工事がスタートしました。区間延長は22kmあり、これからの事業といえます。

 それともう一つ鹿児島市街地内で鹿児島東西道路という事業があり、長大トンネルを予定しています。

 橋梁は、東シナ海や錦江湾にそそぐ河川を渡る箇所に橋梁の建設を多数予定しています。そうした箇所に架かる橋梁が多いため塩害の影響を受けやすく、点検もしっかりとしなければなりません。



南九州西回り道路 芦北出水道路が全面展開

 阿久根川内道路では20を超える橋梁を建設予定

 ――今、少し触れましたが、進捗中の事業について説明してください

 武藤 南九州西回り自動車道は現在3区間に分けて事業を進めています。

 芦北出水道路は、鹿児島県分7.8kmを事業として所管しています。全線未供用です。用地買収は9割が完了しており、全面的に工事を進めています。同区間の橋梁比率は31.3%と高く、10橋を予定しています。現在は前田川橋(5+5径間連結PCポステンT桁橋 L=352m)の上部工、境川橋(3+3径間連結PCポステンT桁橋 L=231m)下部工、西前田川橋(単純非合成鋼箱桁橋 L=57m)下部工、櫓木川橋(3+4径間連結PCポステンT桁橋 L=254m)下部工、関外橋(単純PCポステンT桁橋 L=35m)下部工、美原橋(4+4径間連結PCポステンT桁橋 L=287m)下部工を施工中です。

堺川橋/前田川橋(鹿児島国道事務所提供、以下注釈なきは同)

西前田川橋/櫓木川橋

関外橋/美原橋

 出水阿久根道路は延長14.9km全線で本線部の工事を完了しており、既に供用しています。現在は側道などを整備中です。

 阿久根川内道路は出水阿久根道路との接続部である阿久根ICから川内隈之城道路との接続部である薩摩川内水引IC間延長22.4kmを整備する事業です。2017年度から用地買収を進めており、18年度から阿久根IC~西目IC(仮称)間4.1kmの工事に着手しました。現在の用地進捗率は1%、事業進捗率も1%です。事業区間内では20を超える橋梁を予定しています。3橋を詳細設計中です。


鹿児島東西道路 3km弱のトンネルを建設予定

 現在は立坑を施工中 田上高架橋

 ――国道3号鹿児島東西道路は

 武藤 鹿児島東西道路(下り線)の事業延長は田上IC~鹿児島市道中洲通線までの3.4kmです。九州縦貫自動車道と南九州西回り道路、指宿スカイラインが結節する鹿児島ICという道路交通の要衝がありますが、そのICと鹿児島の市街地を結ぶ道路として武岡トンネル・新武岡トンネルというものがあります。鹿児島IC~建部IC間を上下2車線で供用していますが、混雑状況が緩和されないため、3本目のトンネルということで、田上ICからJRをアンダーパスし、市街地部の地下を通って市道中洲通線まで出入口を持ってくる形で建設を進めます。

 トンネルは延長のうち2.6kmを占めています。市街地部を通るため、当然ではありますが開削トンネルなどは選択できず、九州地方整備局の道路トンネルでは初めてになるシールド工法を採用する予定です。現在は鹿児島市道中洲通線付近にシールドマシンを入れるための立坑を施工中です。シールド本体の発注は今年度中を予定しています。トンネルの直径は11m程度になります。

立杭施工状況

 ――立坑はどの程度の規模になるのですか

 武藤 幅約17m×長さ約25m×深さ約18mで土被りは約3mを確保する予定です。現在は地中連壁を施工中で、掘り下げは今年度末を予定しています。

 ――シールド本体工は土質の関連もあり大変そうですね

 武藤 シラス土質であり、新武岡トンネルの施工の際も苦労したようです。湧水も含めて確認しながら掘進していく必要があります。特に市街地部でのシラス地質下での掘進なので安全には非常に気を付ける必要があります。まずは立坑を掘ってその地質を調査します。

 ――同事業で橋梁関連はありますか

 武藤 田上IC近くの田上高架橋を拡幅する必要があり、昨年度に下部工2基を施工しました。


国道10号 白浜拡幅 脇元高架橋の下部工が進捗

 鹿児島北BP 祇園之洲橋の橋台を施工中

 ――国道10号鹿児島北バイパスは

 武藤 同事業は、南側の延長1.2kmを供用しており、鹿児島市祇園之洲~同市吉野町花倉間4.1kmの区間の事業を進めています。同事業は、旧島津家の別邸である仙厳園の後背地に位置する山側に長大トンネル(延長約2.5km)を予定しています。同トンネルは未着手で、現在は海上部をバイパスする祇園之洲橋(橋長335m、PC5径間連続箱桁橋)の下部工工事を進めています。A2は完了しており、今年度はA1の工事を施工予定です。同橋の橋台部には塩害を考慮してエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用しています。橋脚は海上部に2基建てるため、海上に作業構台を作る必要があります。海上部の基礎は鋼管矢板井筒基礎などを予定しています。

祇園之洲橋(南側からのフォトモンタージュ)/線形の悪い現道(右写真のみ井手迫瑞樹撮影)

完成しているA1橋台(井手迫瑞樹撮影)

A2橋台予定地付近(井手迫瑞樹撮影)

 ――国道10号白浜拡幅事業は

 武藤 鹿児島北BPのさらに北、姶良市内で事業が進められている延長3.4kmの拡幅事業です。用地買収は完了しており、事業進捗率は13%となっています。昨年8月13日には、重富郵便局前付近100m区間を4車線化しました。

    日豊本線が山側にあるため、道路は海側に広げるしかなく、錦江湾側にせり出すように護岸で埋め立ててその上に道路を整備する予定です。現在は陸上部の交差点工事など、切り回しを進めています。今後護岸工事などを進めていく予定ですが、発注時期は未定です。橋梁は脇元高架橋(橋長184m、鋼2径間連続非合成箱桁+PC3径間連結プレテン床版橋)の2期線側の下部工2基を発注したところです。

日豊本線と錦江湾に挟まれている国道10号/東には桜島の絶景があり景観にも配慮しなくてはならない
(井手迫瑞樹撮影)