道路構造物ジャーナルNET

塩害やASRの疑いある橋梁対策も

北部国道事務所 名護東道路などの建設を進める

内閣府 沖縄総合事務局
北部国道事務所長

崎間 斉

公開日:2019.04.25

 沖縄本島北部地域の主要国道を所管する北部国道事務所は2路線約135kmを所管する事務所で、管内には85箇所の橋梁、9箇所のトンネルを有する。また、新設道路として名護東道路や、恩納・恩納南BP、金武BP、読谷道路などの事業を進めている。新設・保全ともに塩害を考慮した設計・施工を行っている。詳細について崎間斉所長に聞いた。(井手迫瑞樹)

20㍍以上の橋梁85橋を管理
 トンネルは9箇所を所管

 ――管内の概要から
 崎間所長 まず、基本的に沖縄本島は四方を海に囲まれた亜熱帯性気候の地域に属し、高温・多湿に加えて、台風の常襲地域となっています。また、当管内は、本島北部の自然豊かな「山原(やんばる)」地域を有し、丘陵地帯を背景に、海岸沿いを南北に直轄管理2本(恩納村およびうるま市以北)の国道を管轄しています。国道58号は恩納村山田~国頭村奥までの約93km、国道329号は名護市世冨慶~うるま市栄野比までの約42kmが管轄範囲です。橋梁は延長20㍍以上が85橋、トンネルは9箇所を管理しています。
 道路整備については、県内最大の集客力を誇る本部町の「美ら海水族館」(平成29年度は500万人入園)や観光リゾート地域である恩納村など多数の観光資源・施設を有する地域を抱えていることから、観光シーズンやイベント時などに発生する交通渋滞(通常でも1日当たり27,000台の交通量が観光渋滞時には43,000台ほどまで増加する、大型車混入率は10~15%)の緩和に加えて、観光の支援、地域の活性化を目的とした改築事業(地域高規格道路名護東道路、地域高規格道路読谷道路、恩納・恩納南BP、金武BP)を進めているところです。
 構造物の整備に当たっては、現道及び改良事業箇所のそのほとんどが海岸線に近く、飛来塩分による既設構造物の老朽化対策および新設構造物の塩害対策には、各種基準などに基づいた対応を行っているところです。

名護東道路 4号トンネルに着工
 数久田高架橋は下部工を施工中

 ――その国道58号名護東道路から
 崎間 予定延長8.4km中、6.8km(名護市大北~数久田)が事業化されており、1工区(伊差川~世冨慶)4.2kmは暫定2車線で供用しています。現在は2工区(世冨慶IC~数久田IC))2.6kmの施工を進めています。
 2工区の構造物比率は70%で、残区間でもトンネル1本、橋梁2橋を予定しています。3号トンネル(551㍍)が貫通済みで、4号トンネル(1021㍍)は2018年10月に着工し、3月から掘進を始めました。橋梁は世冨慶IC関連で4橋あり、3橋が完成、世冨慶IC3号橋(橋長34.1m、鋼単純非合成箱桁)が上部工製作中で、5月から現地架設に入る予定です。長大橋としては3、4号トンネルの間に数久田高架橋(218.5㍍、ポステンPCホロー桁)があります。現在は下部工を施工中で、2019年度に上部工へ着手します。


改築構造物一覧(拡大してご覧下さい)(北部国道事務所提供、以下同)

名護3号トンネルの起点側坑口/同終点側坑口、数久田高架橋の下部工も見える

名護4号トンネル起点側坑口/および終点側坑口

恩納・恩納南BP 恩納南BPが全線暫定供用 今後は4車線化整備へ
 恩納BPは7橋、恩納南BPも2橋を建設予定

 ――恩納BPは
 崎間 恩納村瀨良垣~南恩納の区間5.1kmが事業対象です。次に紹介する恩納南BPともども、現道の通過交通の転換を図り、集落を迂回させ、渋滞の緩和、交通安全の確保、沿道環境の改善を目的としたBP整備です。
 恩納BP事業は、2011年4月に全線で2車線暫定供用しました。現在は引き続き4車線化を進めています。事業費ベースでは約8割の進捗率となっています。
 管内の構造物比率は約23%です。構造物は下り線の橋梁を8橋予定しています。現在は2橋(1、8号橋)が完成し、2橋(5、6号橋)の下部工を施工中です。2、3号橋は下部工が完了しており、4号橋と7号橋は工事未着手です。

 ――恩納南BPは
 崎間 事業対象は恩納村南恩納~仲泊間の6.5kmです。2018年3月に全線で暫定2車線での整備を完了し、供用を開始しました。現在は引き続き4車線化を進めています。事業費ベースで約9割程度の進捗状況です。
 構造物は残工区内6橋予定しており、全てPC桁です。既に3~6号橋が完成しており現在は1号橋の下部工を施工中です。2号橋は下部工を完了していますが、上部工は未着手です。

金武BP 3月に供用開始

 ――金武BP事業は
 崎間 現道は金武町市街部を通っており、キャンプハンセンの軍関係車両の通行と相まって交通渋滞が多く、線形も良くありません。そのため、市街地から南の海岸線沿いに延長5.6kmのバイパスを設ける事業であり、3月に無事供用することができました。
 今回開通した2工区において、橋梁は4橋建設しました。金武BP1号橋(255㍍、プレテンPC4+3径間連結床版桁+鋼単純ローゼ桁)、金武BP1号跨道橋(16㍍、プレテン単純T桁)2号橋(431㍍、ポステンPC4径間連結T 桁)金武BP4号跨道橋(20㍍、プレテンPC単純桁)です。


金武1号橋

同2号橋

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム