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インタビュー詳細

東風平大橋、識名大橋の大規模補修も進める

沖縄県南部土木 南部東道路の整備、那覇大橋の架替えを推進

沖縄県
土木建築部
南部土木事務所長
我那覇 生雄 氏

 沖縄県でも那覇市を中心とする本島南部地域は60万の人口が集中し、とりわけ交通需要が多くなっている。さらに近年は、観光面でも発展が著しい。リピーターを多く獲得するためにも二次交通のさらなる整備が望まれている。また、南端地域は国内唯一の戦跡国定公園があるほか、豊かな海浜も多くある。これらをどのようにつなげていこうとしているのか、沖縄県南部土木事務所の我那覇生雄所長に聞いた。(井手迫瑞樹)


県全体の15.5%の面積に40%超の人口が集中

島尻泥岩層が一部であり災害防除を施工中

 ――南部土木事務所の地勢状の特徴と道路網の現状から

 我那覇所長 沖縄県広域道路整備基本計画および沖縄県道路整備プログラムに基づいて、国と分担しながら南部圏域の道路整備を進めています。

南部土木事務所は、県都那覇市にあり、沖縄本島南部の那覇市を含む4市(那覇市、糸満市、豊見城市、南城市)3町(与那原町、南風原町、八重瀬町)及び周辺離島1町(久米島町)6村(渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村)の計14市町村の行政区域を所管しています。所管市町村の総面積は、353.42㎢(平成29年10月現在)で県全体の15.5%、人口は594,006人(平成30年1月現在)で県全体の40.4%となっています。

 本島南部は中部や北部土木事務所管内と比べて山も少なく、平坦な地域であるため比較的施工がしやすい地形といえます。管内は本当中北部に比べて米軍基地提供面積も限られています。一方で人口が過密であり、宅地化が進んでおり、地価が上昇しているため用地買収に時間がかかります。それに本島南部に土地を有する人の傾向として祖先からの土地を手放すことに抵抗があることも用地買収が遅れる基になっていますが、これは粘り強くお話ししていくしかないと思います。

 地質は島尻泥岩層が一部の地域であり災害防除路線に指定して対策を進めています。島尻泥岩層は、露頭により風化すると雨で滑る新里層が出ます。そうした箇所で災害が起きやすく順次対策を進めています。今年度は用地買収が完了した南風原知念線で法枠アンカーの設置など必要な対策を進めます。


南部東道路 大里東IC~佐敷・玉城IC間約2kmを施工中

 同工区では4橋を整備

 ――所管している道路整備事業について南部東道路の概要と進捗状況から教えてください

 我那覇 南部東道路は、南風原町字喜屋武~南城市玉城字垣花(つきしろ交差点)間延長7.4kmで進めている道路事業です。当初は第1工区として南風原南IC~喜屋武(新南風原交差点)間0.9kmも含まれていましたが、別途整備を進めることになりました。

 同道路事業で実際に工事が進んでいるのは、4工区(大里東IC~佐敷・玉城IC間)2kmです。同工区では構造物として、大城ダム1号橋(123m、ポステンPC)、同2号橋(78m、ポステンPC)、同3号橋(123m、ポステンPC)、大城高架橋(172m、ポステンPC桁)があり、3号橋のP2橋脚を除いて下部工を完了しています。1号橋については上部工に着手しており。2号橋も年度末に契約を完了する予定です。3号橋や大城高架橋についても次年度早々に契約を行い、2019年度の予算で橋面工まで発注したいと考えています。

事業中橋梁一覧(沖縄県提供、以下注釈無きは同)

 ――他の工区は

 我那覇 3工区(大里~大里東IC間1.9km)は用地買収を始めたところです。同工区では仲間高架橋(約300m、PC)など4橋を予定しています。また、2工区(新南風原交差点~大里IC間1.9km)、5工区(佐敷・玉城IC~つきしろ交差点)は未着手です。同工区では神里トンネル(100m強)、高平高架橋上下線(400m弱、PC)など5橋を予定しています。


那覇大橋架替え 複雑な8ステップが必要

 現在は上流側3主桁中2本の主桁を架設

 ――那覇内環状線における那覇大橋の架け替えは

 我那覇 現橋は昭和45年に供用してから既に50年が経過しており、4車線ではあるものの、車線ごとの幅員が狭小で日交通量46,651台を支えるには辛くなっています。また、平成18年度に行った補修検討調査では床版の応力度不足、耐震性能不足、鋼材の腐食など老朽化の進行が確認されたことから大幅に幅員を広げた新橋に架け替えることにしたものです。


那覇大橋の事業概要(沖縄県南部土木事務所提供資料より抜粋)

 ――新橋の概要と進捗状況は

 我那覇 橋長147.6m、幅員27.5mの鋼5径間連続非合成少数I桁橋です。上部工の鋼重は上流側が246.83t、下流側が277.881tの合計524.711tとなっています。下部工は逆T式橋台、RC張出式橋脚を採用しています。

 同橋は河川右岸側に国道329号、左岸側には那覇市道が近接し、さらに下流側にはゆいレールが近接しています。その上、日交通量は46,000台を超えます。交通の切り回しによる工事渋滞をできるだけ引き起こさないことや、供用している既設構造物への影響をでなくする手立ては必須です。

 そのため8つの段階を踏んで施工することにしました。ステップ1~5は上流側の施工です。まず第1段階として上流側に設置予定の新桁のさらに上流側に作業スペースとなる仮橋を設置し、第2段階として上流側の張り出し部を除く下部工を施工し、第3段階として上流側3主桁の内2主桁の架設とその部分の合成床版の施工を済ませます。現状はこの状況です。桁は四国の川田工業多度津工場で製作したものを運んで架設しています(上流側鋼上部工の製作架設元請は川田工業・仲本工業JV)。

8段階のステップを踏んで施工する

仮橋から上流側の桁を架設

桁架設完了状況/現場での継手工

支承の設置/次いで合成床版の底鋼板を架設

 第4段階として既設橋の奥武山向け2車線を作業スペースとして用いていた仮橋に切り回し、第5段階として既設橋上流側の上部工および同下部工(幅員4.1m部分)を撤去します。その上で、その空いたスペースに新設上流側興梠の下部工張出部を追加施工し、さらに3主桁の残り1本を架設し、合成床版も同部分を施工、舗装や付属工を施工し、交通を完全に仮橋と上流側新設橋に流します。

 ――主桁だけでなく合成床版の底鋼板を置くだけでなく、実際に床版上部のコンクリートを打設するのですか

 我那覇 打設します。打設したうえで残り1本の主桁と底鋼版を継ぎ足し、コンクリートを打設します。そうしないと現橋下部工の撤去に支障がでるなど、その後のステップが難しくなるのです。

 ――構造上不要な添接やコンクリートの継ぎ目は塩害が厳しい沖縄では避けたいところですが

 我那覇 甘受せざるを得ません。あとにも述べますが防塩板の適用や防食鉄筋の採用、床版防水の施工などでそうした部分が弱点にならないよう補っていくほかないと考えています。

 ――第6段階以降は

 我那覇 第6段階以降は下流側新橋の施工です。モノレールが近接しているため、下流側は右岸部に仮桟橋を設置したうえで、既設上部工を撤去し、空いたスペースに既設橋脚を囲む形で作業構台を設置し、下部工を撤去します。そのあと新しい下部工を施工し、上部工を架設し、橋面工まで施工したうえで、仮橋を撤去し、交通をすべて新橋に振り替えます。下流側の橋梁は上流側のように分割施工ではなく一発で架ける予定です。


桁を覆う防塩板「NSカバープレート」を採用

 ――同地はゆいレールの桁や鋼製橋脚の状態を見ても非常に塩害が厳しいように思えます。交通量も多く桁下も河川のためクリアランスが低く維持管理が難しそうですが何か対策を施していますか

 我那覇 防食は従来の重防食塗装ですが、防食性の高いチタンを用いた『NSカバープレート』を防塩板として桁を覆う形で設置しており、外部からの塩分の侵入を阻止すると共に検査路としても使っていきます。また支承については従来の塗装だけでなく巻くような防食を考えています。

NSカバープレートを採用した
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