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インタビュー詳細

約1000万人の観光人口をどのようにさばくか

沖縄県 ハシゴ道路ネットワークの構築を急ぐ

沖縄県
土木建築部
道路街路課長
玉城 佳卓 氏

 沖縄県は、我が国の南西部に位置し、東西約1,000km、南北約400kmの広大な海域に49の有人離島を含む大小160の島々からなる島嶼県である。近年では、観光人口でハワイに肉薄するなど観光産業の隆盛に伴い、沖縄本島や宮古島などではホテルラッシュが続く。その反面、二次交通が比較的弱く、米軍基地の存在がはしご道路ネットワークの建設を阻害している感は否めない。そうした状況の中、リピーターを逃さないために円滑な道路網をどのように整備しようとしているか、同県土木建築部の玉城佳卓道路街路課長にインタビューした。(井手迫瑞樹)


4時間圏域に20億人の人口

 那覇市域は本土の政令都市に匹敵

 ――県内の地勢的特徴と道路網の現状について

 玉城課長 沖縄県は、我が国の南西部に位置し、東西約1,000km、南北約400kmの広大な海域に49の有人離島を含む大小160の島々からなる島嶼県です。

備瀬崎から伊江島を望む(井手迫瑞樹撮影)

 主な離島を紹介しますと、沖縄本島の東側には、那覇から約360kmの位置に南・北大東島があり、西側には那覇から約290kmの位置に宮古島、約400kmに石垣島、最西端の与那国島は約510kmの位置にあります。県の面積は2,276km2は全国44位で、東京都より少し大きいくらいです。

 沖縄本島についてご説明しますと、北部地域は、世界自然遺産登録を目指す「やんばる」と呼ばれる地域がある自然豊かな地域となっています。中南部地域は、都市化が進み本土の政令市に匹敵する100万都市圏を形成しています。面積は、1,210km2で、南北方向の長さは、約130km、東西方向は、長いところで約28km程度、短いところで約4km(うるま市石川)程度です。

 地形的には、ほとんどが丘陵地や台地・段丘となっており、500mを超える山は、沖縄本島の北部にある与那覇岳(503m)と石垣島に一番高い於茂登岳(526m)があるのみです。河川は、大小あわせて300余りありますが、一級河川は無く、特徴として川幅が狭く、流路延長が短いため降雨は短時間で海へ到達します。

 また、殆どの島々の周囲にはサンゴ礁が発達しているため、砂浜は主に死んだサンゴのかけらからなる白砂で出来ています。また、海中に堆積した白砂のお陰でコバルトブルーの海をつくりだし、多くの観光客を魅了しています。

 改めて沖縄県の位置についてお話ししますと、那覇市と東京の距離は約1,550kmですが、少し視点を変えて、それを半径とする円を描き、沖縄を中心に世界地図を見ると、上海や香港、ソウル、マニラなどアジアの主要都市が含まれます。また、北海道までを半径とする約4,000kmという見方をすると、おおよそ4時間圏域となりますが、その圏域には約20億人の人々がいます。沖縄から見ると巨大市場が存在し、逆に考えると、その方々が沖縄に来られる可能性があります。

 現時点で、沖縄県には毎年、右肩上がりで多くの観光客が訪れていますが、平成30年には約980万人の方が訪れており、その内訳は、国内約690万人、国外約290万人となっています。沖縄のリーディング産業のひとつである観光リゾート産業をさらに発展させるためにはさらなるインバウンドの取り込みが必要と考えています。このように東アジアの中心に位置する優位性を活かすためには、それを受け入れるための社会資本整備が欠かせません。そのため、物流・人流の移動の円滑化、利便性向上のため、那覇空港の第二滑走路増設や拡大するクル-ズ市場の獲得のため那覇港、本部港及び離島の平良港、石垣港でクルーズ船に対応した港湾施設の整備に取り組んでいます。

美しい備瀬のフクギ並木/ホテルの建設ラッシュ(国際通り)(井手迫瑞樹撮影)

伊良部大橋(宮古島と伊良部島を結ぶ、この橋が現在の宮古島市の観光の起爆剤となった)
(井手迫瑞樹撮影)

離島である伊良部島と下地島を結ぶ乗瀬橋の架替えが完了した(左:井手迫瑞樹撮影、右:沖縄県提供)

 しかしながら、そこで大きな問題となっているのが、県内での移動「二次交通」です。沖縄には鉄道が無く、軌道系の輸送は、沖縄都市モノレールだけです。現在、浦添市まで延長工事を行っていますが、現時点で那覇市内のみの運行となっています。そしてモノレール以外の公共交通を含め移動手段のほとんどが自動車で、自家用車利用の機関別分担率は約90%と高くなっています。そのため、中南部地域では交通混雑が慢性化しており、那覇市の平日混雑時平均旅行速度は、約16km/h(平成26年度)と全国最低の水準となっており、交通容量の拡大のための道路網の整備が喫緊の課題です。

ゆいレールの延伸工事は大詰め(井手迫瑞樹撮影)

 現在の道路整備の現状をお話ししますと、沖縄本島の南北軸・東西軸を有機的に結ぶ幹線道路網「ハシゴ道路ネットワーク」と呼んでいますが、その構築を急いでいます。

 沖縄本島の南北軸については、西側の柱として国道58号とそのバイパスとなる読谷村から糸満市までを結ぶ地域高規格道路の西海岸道路、中央の柱として、完成済みの沖縄自動車道、東側の柱として国道329号とそのバイパスの整備を国(沖縄総合事務局)で行っています。

 東西軸については、沖縄県で整備を行っており、地域高規格道路の南部東道路や、主要地方道の浦添西原線や宜野湾北中城線などの整備を推進しています。あわせて高速道路の利便性向上のため、モノレール関連事業で、幸地インターチェンジ(以降、IC)の整備を行っています。

 ――沖縄に初めてきたのが1996年ごろでしたが、モノレールもなく、空港から国際通りまで交通混雑で非常に時間がかかったことを記憶しています。当時から「ハシゴ道路ネットワーク」構想がありましたが、歴代の本島各土木事務所長に話を聞くと米軍基地の問題があります。中部土木事務所の旧米軍病院の近くの24号バイパスも平成16年に取材した時にまったく動かないという話をお聞きしました。このように「ハシゴ道路ネットワーク」が進まないという現実があります。

 玉城 なかなか難しい問題です。物流、人流もありますが、観光客も大事なので「ハシゴ道路ネットワーク」の中南部の道路整備を急ぐのが、優先度では高いと考えています。

 ――鉄路もルートができて、いつ着工するのか興味があります

 玉城 国では費用対効果が厳しいということでまだ難しい状況です。

 ――名護までは厳しいと思いますがコザまでは十分採算が取れるのではないでしょうか

 玉城 管轄外なのであまり言えませんが、土木的発想でいえば、まずは費用対効果があるところだけ整備すればいいという考えもあると思います。

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