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別埜谷橋、双海橋で攻めの設計

NEXCO西日本 吉野川大橋下部工が最盛期

西日本高速道路株式会社
四国支社
建設事業部長

内野 雅彦

公開日:2019.02.16

徳島道付加車線事業 速度低下率の高い区間を施工
 土工 が6.7km、橋梁0.8km

 ――次に付加車線事業について、徳島自動車道(土成IC~脇町IC)付加車線事業から詳細をお話しください
 内野 徳島道は平成27年3月の鳴門JCT~徳島ICの開通により四国4県都が、高速道路により3時間以内で結ばれたことにより、さらなる地域の発展や文化の交流、地域の連携に寄与しています。付加車線設置事業は暫定2車線道路が抱える安全性や走行性、大規模災害時の対応などの課題に対処するため事業を進めています。
 徳島道が通る付近は、中央構造線によって西南日本の内帯と外帯とに分けられ、本地域に分布する西南日本内帯南縁の和泉層群は、主に砂岩と頁岩により構成される中生代白亜紀の地層であり、南北幅約12㎞で東西に細長い帯をなして阿讃山脈の大部分を形成しています。ちょうど吉野川の北岸沿いを走っている高速道路といえます。
 当該路線は、土成IC~脇町IC間約7.5kmが事業延長です。同区間が選ばれたのは速度低下率が比較的高い調査結果が出たためです。同区間は縦断線形の中でサグを有し、そこで速度低下を招いている状況です。
 他の4車線化事業と共通する課題ですが、供用路線が近接していることから、目隠しネットや仮設防護柵を設けてお客さまへ配慮するとともに、関係機関や地元住民の皆さまにご協力いただきながら、工事の影響が最小限となるように、着実に工事を進めてまいります。
 ――構造物延長は
 内野 土工 が6.7km(89%)、橋梁0.8km(11%)となっています。全区間で工事に着手しており、土工、下部工、PC上部工各1件ずつの工事を進めています。橋梁は6橋を予定しています。
 ――同区間は下部工から作るのですか。それとも既設路線で4車線化を前提とした下部工が作られているのでしょうか
 内野 概ね下部工から建設しますが、一部で、下部工(橋台)が建設済みの区間もあります。
 ――基礎施工時の近接する既設基礎対策はどのように行っていますか
 内野 矢板による締切り、深礎及び全周回転杭工法の採用により、地盤を緩ませず付加車線部の基礎を建設する手法を採用しています。

松山道は アンカー工の設置や地滑りを抑止する杭の施工を検討
 橋梁0.7km、トンネル2.6km 双海橋など

 ――松山自動車道(伊予IC~内子五十崎IC)付加車線事業は
 内野 当該路線は松山道伊予IC~内子五十崎IC約6.3kmが事業区間であり、中央構造線に沿って計画されています。中央構造線は全長900㎞に及ぶ日本最大の断層であります。地質的な特徴としては、断層破砕帯、断層角礫岩、断層粘土のために岩盤が軟弱になっており、また崖錐堆積物や地すべり堆積物のような固結度の低い堆積物が多量に形成されています。
 中央構造線と地すべり地帯を通過する路線であり、供用線と近接することから、学識経験者を交えた地すべり対策の委員会を設立し、十分な安全対策を検討しながら事業を進めております。具体的にはアンカー工の設置や地滑りを抑止する杭の施工を検討しています。
 また他の4車線化事業と共通する課題ですが、供用路線が近接していることから、目隠しネットや仮設防護柵を設けてお客さまへ配慮するとともに、関係機関や地元住民の皆さまにご協力いただきながら、工事の影響が最小限となるように、着実に工事を進めてまいります。
 ――構造物延長は
 内野 土工3.0km (48%)、橋梁0.7km(11%)、トンネル2.6km(41%)となっています。工事着手率は63%です。契約中工事はトンネル工事の1件のみです。構造物は橋梁が3橋、トンネルが1本を予定しています。橋梁の設計はほぼ終えています。
 ――地盤が悪そうですが、橋梁基礎などはどのような工法を採用しているのですか
 内野 基礎は25~30mぐらいで浅いとも言えませんが特別深くもありません。橋梁基礎は基本的に大口径深礎を採用しています。また竹割式土留め工法も採用しています。
 ――橋梁形式やピア高は
 内野 双海橋ではバランスドアーチ橋を採用しています。ピア高は20~35m程度です。


双海橋フォトモンタージュ

2つのスマートIC事業を展開
 東温ICは四国初のラウンドアバウト型前方退出路を採用

 ――スマートインターチェンジ建設事業を中山スマートICから 
 内野 当支社管内において4箇所を整備してきたところであり、松山自動車道に新たに2箇所のスマートIC事業を自治体とともに事業を進めているところです。
中山スマートICは、平成26年8月に事業許可を受け伊予IC~内子五十崎IC間の愛媛県伊予市双海町上灘に建設する本線直結型のハーフIC(松山方面入、大洲方面出)です。構造としては盛土を採用しており、現在は土工工事を進めています。伊予市とともに中山地域の新たな玄関口として事業を展開しております
 ――東温スマートICは
 内野 H30年8月に事業許可を受け、川内IC~松山IC間の愛媛県東温市田窪に設置を予定している本線直結型のフルICです。東温市とともに新たに整備される工業団地への企業誘致促進・雇用の創出など産業活動の活性化に向けて事業を展開しています。当支社管内のスマートICとしては、初のラウンドアバウト(環状交差点)型の前方退出路を採用したスマートICとなっております。現在は早期の事業着手に向け、協議及び調査設計の準備をしているところです。

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