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インタビュー詳細

2018年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ④JFEエンジニアリング

海外鋼構造事業の受注拡大へ グローバル人材の登用を図る

JFEエンジニアリング株式会社
常務執行役員 社会インフラ本部
川畑 篤敬 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第2回目は、日本ファブテックの小野重記社長とJFEエンジニアリングの川畑篤敬常務執行役員の記事を掲載する。


 ――昨年度の業績について

 川畑 昨年度の受注高は750億円で、内訳は橋梁570億円、その他180億円。売上高は620億円で、橋梁480億円、その他140億円となった。昨年度は鋼道路橋発注量が20万tを回復、海外では、スリランカ国道路開発庁から「ケラニ河新橋建設事業 パッケージ1 鋼製橋梁工区」を受注し、前年度を上回ることができた。

 ――需要環境・業界の動向は

 川畑 今年度の国内新設道路橋の発注量は横ばいの20万tと見込む。ただ、保全改築案件発注は社会的要請もあり、加速されるとみている。なかでも、首都高速など、都心部の道路の修繕・改築は活況で、20年までこの傾向が続くと想定している。

 一方、現場における安全性の確保に取り組むことが強く求められている。新設鋼橋は、道路や鉄道の上を架設することが多く、安全施工が求められる。働き方改革を推進する面からも作業員の安全性の担保は不可欠な問題。個社対応の話ではあるが、国民からの支持を得るためにも業界が取り組むべきこと。今年の日本橋梁建設協会の技術発表会では、全地区で安全に対する取り組み状況・方針を紹介する。



高速横浜環状北西線青葉地区上部・橋脚(その1)工事


上信越自動車道 太田切川橋(鋼上部工)工事/アーチリブ閉合後


 ――今期の状況は

 川畑 今年度は受注高では約860億円で内訳は橋梁約650億円、その他約210億円。売上高は約720億円で橋梁約500億円、その他約220億円。

 新設橋梁では、昨年同様に名二環整備に向けた中部地整の発注が活発。四国地整の四国横断道や高知南国道の発注も予定される。またNEXCO3社の発注量は昨年を大きく上回る。一方、高速道路の改築事業が盛況となっており、床版取替工事が増加すると見込まれ、現場施工の中で使える技術の開発を進めていく。さらに、革新的な提案や改築工事に特化した技術開発も進め、既存インフラの維持管理に一層貢献していきたい。

 鉄構インフラでは、羽田空港再整備など、東京五輪に向けた東京湾臨海部の整備とともに、全国の主要港湾で、クルーズ需要拡大に伴う桟橋整備が最盛期を迎えている。さらに、既設桟橋や岸壁等の耐震補強やリニューアル需要がますます拡大するとみている。



新港ふ頭9号岸壁ジャケット式桟橋据付工事


 上期では、平成30年度名二環春田3高架橋鋼上部工事(中部地方整備局)、国道246号渋谷駅西口歩道橋架替工事(関東地方整備局)、町道女川出島線出島架橋本体工事(宮城県)などを受注した。



(左)平成28年度 四日市港霞ヶ浦北ふ頭地区道路(霞4号幹線)橋梁(P3~P9)上部工事

(右)平成29年度 四日市港霞ヶ浦北ふ頭地区道路(霞4号幹線)橋梁(P9~P13)上部工事


 ――海外事業については

 川畑 ミャンマーのJ&Mスチールソリューションズの拡張工事が完了、年産3万tに拡大した。新設備の稼働により、今後需要が見込まれる建材や橋梁の合成床版をはじめとした道路・港湾関連の新しい製品を積極的に展開する。また、日本仕様の防食仕様を施せる新規ブラスト設備や塗装設備を導入したことにより、ODA案件などで求められる本邦技術をベースとした高耐久性仕様の鋼構造物をより効率的に製作することが可能になった。

 また現在、インド、バングラデシュ、ミャンマー、スリランカ、ラオスで工事を実施しているが、J&Mスチールソリューションズですべて製作することができないことから、ベトナム、タイ、インドなどの現地工場を使っている。今年度は本社に、これらの海外で製作する工場の品質・工程管理をマネジメントする部署を新設した。

 今後もミャンマー国内向け需要への取り組みをベースに、引き続きインフラ整備が活性化する環インド洋地域に向け、より高品質で競争力ある鋼構造物を供給し、海外の鋼構造事業の受注拡大を目指す。



ミャンマーで製作中のティラワ港の桟橋


 ――その他には

 川畑 設計、製作、施工の全職種でグローバルな人材を登用し、ダイバーシティに積極的に取り組んでいる。その一環として、フィリピン人やミャンマー人の技術者が日本で研修を行う際、言葉や病気の問題をケアする体制を整備している。

 また、女性技術者も現場配置している。現在、外国人を含めて約10人が業務に従事しているが、専用のトイレや更衣室の設置など女性にも働きやすい環境を整備している。

(聞き手=佐藤岳彦、文中敬称略 2018年9月3日掲載)