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インタビュー詳細

ロッキングピア、長大・特殊橋の耐震対策も急ピッチで進む

NEXCO中日本名古屋支社 大規模更新・大規模修繕事業が本格化

中日本高速道路株式会社
名古屋支社
保全・サービス事業部長
池田 光次 氏

 中日本高速道路名古屋支社管内は東名、新東名、名神、伊勢湾岸道などの日本有数の重交通路線や中央道など環境条件が厳しい路線などを管理している。供用年次が古くかつ重交通の路線が多いことから大規模リニューアルに該当する構造物を多く抱える。また、名港トリトンをはじめ、特殊長大橋の耐震補強や熊本地震で落橋したロッキングピアを有する橋梁の耐震補強も急務だ。ほか、塗り替えや土工・法面の補修などの分野も含め詳細を池田光次保全・サービス事業部長に聞いた。(井手迫瑞樹)


管理延長は約890km

  交通量最大は東名阪道四日市付近の11万台/日

 ――管内の概要は

 池田部長 名古屋支社の管理延長は889.4kmでNEXCO中日本全体管理延長の43%を占めます。東西幹線の交通量が特に多く、伊勢湾岸道の海上部区間が約8~9万台、その西側の東名阪道四日市付近は約10~11万台のご利用があります。東側の東名は、新東名が開通して減少しましたが、それでも岡崎IC~豊田JCTの交通量は7万台を超えています。新東名が5万台なので、断面で12万台となる計算です。名神は、一宮IC~一宮JCT間が多く、8~9万台となっています。渋滞量では、東名阪道の四日市JCT~亀山JCT間や名神の一宮IC~一宮JCT間が多くなっています。

名古屋支社所掌範囲/名古屋支社管内交通量一覧
(いずれも中日本高速道路名古屋支社提供、注釈なきは以下同)

各保全・サービスセンターの所掌/路線別延長

 ――一宮付近では一宮IC~一宮木曽川ICまでの名高速の延伸が取り沙汰されていますね

 池田 一宮ICから北に延伸するとだいぶ車の流れが変わると思います。現在、NEXCOでも県と協同で東海北陸道から名神の下を超え南にでる西尾張ICをつくっており、渋滞を回避できるようになります。

 東名阪道の渋滞が激しい中で、昨年夏に四日市IC~鈴鹿IC間において暫定3車線の8㎞延伸を行いました。幅員の都合上、その先の4kmはできなかったので、ドライブ・アシスト・ライト(右資料)を運用しており、速度と交通容量を見て、混雑具合に応じてライトの点滅を制御することで交通の流れが良くなり、渋滞が激減しました。

 しかし、通過時間が短くなった結果、名神ルートや1号や23号に流れていた車が東名阪道に入り、導入後、交通量が1割増えてしまったため、効果は出ているものの渋滞回数は変わっていません。

 一方、中央道(下り線)多治見IC~小牧東IC間では、右側付加車線方式を試行しています。これまでは付加(登坂)車線は左側で低速車用でしたが、右側に追越車線を付加したものです。自由度の高い車が追い越しを無理なくできるようになり、試行して3年目になりますが、車線毎の車の流れが非常に良くなりました。

右側付加車線方式の試行


開通後40年以上が45%を占める

 管内平均交通量は4万台/日 大型車混入率は約3割

 ――構造物の状況は

 池田 開通後30年を経過する道路が全体の約5割を占めます。40年以上でも約45%に達します。平均交通量は約40,000台/日です。

供用年数の推移

 交通量の特徴としては、伊勢湾岸道、新名神、新東名の大型車混入率が約4割となっている。沿線に名古屋港や四日市港を抱えていることに加え、都市近郊に産業地帯が多いことも要因と考えられ、新東名では48%で非常に混入率が高い状況です。全体でも大型車混入率は約3割となっています。

日平均断面交通量/大型車混入率

 さらに東海北陸や名神、中央道は降雪量が多いことが管内の特徴です。


橋梁比率は25% トンネル比率は15%

 構造物比率では橋梁が約25%、トンネルが約15%で構造物比率は40%を超えます。支社が所管する橋梁は2060橋で橋梁のみの総延長でも約490kmに達します(上下線別カウントのため道路総延長にリンクしない)。

構造物構成比/各路線の橋種比率

 橋種別では、鋼橋が約51%、PC橋が約27%、RC橋が約14%、PRC橋が約8%で圧倒的に鋼橋が多くなっています。年数別でみると、11~20年が約41%と多い。これは平成10年開通の伊勢湾岸道がほぼ全線高架で全体の23%を占めるためで、名港トリトンなど、多くは鋼橋が占めます。もう一つ特徴的なのは東海北陸道で、山間部の路線で非常に橋梁が多くなっています。名古屋第二環状道も全線高架のため、橋梁が多くなっています。

橋種別割合および橋種別・経過年数別比率


トンネルは180箇所を管理

 矢板工法は18%

 ――同様にトンネルは

 池田 支社では180箇所を管理しています。総延長は約180kmにおよびます。工法別では、NATM82%、矢板18%、開削とパイプルーフは1%未満となっています。新東名が開通したので、NATMが増えていますが、以前は矢板工法の比率も高かった。

トンネルの各路線別の施工方法種別

トンネルの工法別比率/トンネルの供用年代別工法比率

 ――矢板が多いのは中央道ですね

 池田 路線が古いためです。矢板からNATMへの切り替わりは東海北陸道(Ⅰ期)の建設時からです。


凍結防止剤散布量が1km当たり年間100tになる箇所も

 補修必要な変状は床版が4割占める

 ――変状の状況は

 池田 経年劣化だけではなく、東西ルートでは重交通による疲労の影響がかなり出ています。また、多量の凍結防止剤を撒いているので、それによる塩害も特徴的です。特に名神の滋賀県域では1kmで約100t/年の凍結防止剤を使用しています。
 春に洗っていますが、コンクリートや鋼材の錆に入ってしまっている塩は取れないので、影響が出ています。そのため現在、金沢支社で開発中の塩害の出にくい凍結防止剤に期待しています。


供用年代別橋梁健全度評価

 ――変状は上部工が一番多い?

 池田 A判定以上でまとめると6割が上部工で、その中でも床版が2/3を占めます。特に鋼橋のRC床版の痛みが激しい状況です。経過年数が30年を超えると急激に変状箇所が増えており、症状としてははく離、うきが顕在化しています。それ以外に気をつけているのは、比較的新しくても変状が急増している伊勢湾岸道のジョイント疲労損傷で、重要課題として、取替えを逐次進めています。

橋梁におけるA判定上の変状部位


伊勢湾岸道でジョイント損傷多し

 重量超過車両が影響か

 ――初期型のジョイントですよね

 池田 ビーム型ジョイントで折れが多数生じています。ミドルビームとサポートビームの溶接継手から割れが進行しています。フィンガージョイントも歯が折れたものがありますが、ビーム型の方が変状が多いです。大型交通が多すぎるというのもあるのでしょう。

伊勢湾岸道のジョイント損傷状況

 伊勢湾岸道ではジョイントだけでなく、鋼床版の疲労も出ています。名港トリトンは中央大橋や東大橋で鋼床版の割れが出始めていて、対策を考えなければなりません。実交通の車重データを取るために、伊勢湾岸道では本線軸重計で計測もしています。総重量で25tを超える車は3万台/月、つまり1日1,000台は25t以上が走っていることになります。45tを超える車は1,000台/月を確認しており、過去最大では80tがありました。それぐらい重車両が沢山走っていますので取締りを強化しています。

名港中央大橋で確認された疲労亀裂

 ――閣議決定され、10月にも政令で指定される重要物流道路では重要港湾の近くが重点的に指定されます。名古屋港はまさに重要港湾ですので伊勢湾岸道はかなり影響を受けそうですね

 池田 伊勢湾岸道も何かしら影響を受ける可能性はあると思っていますが、伊勢湾岸道のICは縦断が厳しいので登っていけない車は一般道に入っていると思います。


鋼床版疲労損傷 デッキプレート貫通亀裂も散見

 将来的にSFRCによる対策を検討

 ――鋼床版の疲労き裂はビード貫通、デッキプレート貫通?

 池田 デッキプレート貫通がこの間発生しました。これまではUリブと鋼床版の溶接部のき裂だったが、デッキプレート貫通も出てきた状況です。

デッキプレート貫通亀裂(名港中央大橋)

鋼床版の疲労対策例

 ――ではSFRCで対応するのですか

 池田 やる必要は認識していますが、すぐにはできません。Uリブの中なのですぐに当板もできません。仕方がないので、緊急でUリブの中をモルタルで埋めて対応しました。SFRCによる床版補強の段取りをこれからつけていかなければなりません。

 ――(デッキプレート貫通であれば)水は入りますよね

 池田 中をモルタルグラウトしたうえで、表面(上面)は溶接で埋めています。


 ――名港トリトンでSFRC補強すべき点はありますか

 池田 トリトンでは今すぐできる状況ではありません。名港トリトンではSFRC打設時の工事規制をどうやるのかが大きな課題です。一般道も飽和状態です。東名・名神に回したいのはやまやまですが、そちらも傷んでいて大規模更新をやる必要があります。

 ――ほかのところでは

 池田 管内ではまだありません。今年度末に開通する新名神は最初から鋼床版上にSFRCを打設しています。
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