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インタビュー詳細

沖縄自動車道北部区間 現在は湖辺底橋と福地川橋

NEXCO西日本 沖縄高速道路事務所 大規模更新・大規模修繕事業が、年1、2橋のペースで進む

西日本高速道路
九州支社
沖縄高速道路事務所
所長
工藤 紀行 氏

 西日本高速道路九州支社沖縄高速道路事務所は、沖縄自動車道57.3kmを所管している。とりわけ沖縄海洋博開催に際し、突貫工事で建設された北部区間(許田IC~石川IC間)25.9kmは内在塩分と飛来塩分による塩害により、中空床版桁やグレーチング床版に大きな損傷が生じ、大規模更新事業の対象として取替工事などが進められている。同事務所長の工藤紀行所長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


IC間平均距離は4.8kmと短い

 基地と隣接・通過している箇所は延長の約30%

 ――沖縄管理事務所の概要から

 工藤所長 当事務所は、沖縄自動車道57.3kmを所管しています。沖縄自動車道は、沖縄県総人口(142万人)の約84%が集中する中南部都市圏と北部の名護市までを結んでいます。延長内に11箇所のIC(喜舎場SIC含む)と1箇所のJCTがあります。IC間の平均距離は4.8kmと短く、比較的短区間・短距離をご利用されるお客様が多くなっています。供用時期によって許田IC~石川ICまでの北部区間25.9kmと石川IC~那覇ICまでの南部区間31.4kmに分かれています。沖縄本島内には米軍基地が数多く存在します。沖縄自動車道は6箇所の基地と隣接ないしは基地内を通過しており、その延長は全線延長に対して約30%の17.1kmを占めています。

 北部区間は、昭和50年の5月20日に沖縄海洋博覧会に合わせるため事業許可から僅か2年間で開通しており、南部区間は、昭和54年3月に施行命令を受け、沖縄海邦国体前の昭和62年10月に開通しました。今年度が沖縄道全通30周年ということで昨年11月にアニバーサリーイベントを、この1月には家族連れの方を対象とした現場見学会も開催させていただきました。

 飛来塩分量が多いことや、高温多湿な亜熱帯性気候ということもあって、構造物には厳しい環境下にあります。特に北部区間は、コンクリートの内在塩分量も高く、老朽化の進み具合も早いということで、九州支社管内でも大規模更新を先行している状況です。


構造物は70橋とトンネル2チューブを所管

 北部区間は鋼、南部区間はPCが主

 ――橋梁の構造別比率は、またトンネルは

 工藤 本線橋梁は全体で70橋あります。北部区間は上下線合わせて28橋で、鋼橋が86%、複合橋が7%、RC橋が7%。南部区間は42橋で、PC橋が38%、RC橋が24%、複合橋が38%となっています。本線橋梁全体の構造別比率は、鋼橋が34%、PC橋が27%、RC橋が17%、複合橋が26%となっています。

 また、トンネルは2チューブ(NATM、喜舎場トンネル上下線(0.4km)が南部区間にあります。


南部区間の掘割部(井手迫瑞樹撮影)


 ――北部区間はほとんどが鋼橋形式ですね

 工藤 現場施工期間を極力短くするため工場製作の鋼桁を多く採用しました。RC中空床版などのコンクリートには除塩不足の海砂を用いたため、コンクリート中の塩分量はほとんどの箇所で鋼材腐食発生限界濃度といわれている1.2kg/㎥(鉄筋近傍値)を超えていて、多い所では3kg/㎥を超えている箇所もあります。北部区間は海沿いを走っている区間もあり、飛来塩分も多く、亜熱帯特有の高温多湿の気候と塩害(内在・飛来塩分)の相乗効果により、構造物の腐食、塩害を助長しています。

 ――南部区間は一転してPC桁が多いですね

 工藤 先程も触れたように沖縄独特の塩害腐食環境を考慮するとともにメンテナンス性の向上を図る観点から、極力コンクリート桁を用いています。かぶり厚も下部工は7cmと現在と同等の厚さを確保し、海砂中の塩分も除去するなど現在と同様の手法を用いています。

――点検を進めてみての大まかな劣化状況は

 工藤 北部区間には、上部工のRC中空床版は内在塩分や水などの影響により、鉄筋腐食や下部工のコンクリートの塩害が顕著にみられますが、ASRに起因するような損傷は見られません。


湖辺底橋の損傷状況(西日本高速道路九州支社沖縄高速道路事務所提供、以下注釈無きは同)


 ――グレーチング床版の損傷は見られませんか

 工藤 北部区間の特徴として、現場施工期間を短くするために鋼桁の床版にはIBグレーチング(IBG)床版をほとんどの橋で採用しています。グレーチング床版の上面のコンクリートは水などの影響で土砂化しており、床版下面においてもハンチ部の損傷は厳しい状況に至っています。


左:伊芸高架橋床版上面の損傷状況、右:福地川橋の鋼トラス桁の発錆状況

 ――北部区間で支承や伸縮装置、高欄などの損傷はありませんか

 工藤 支承などは、以前は塗り替え塗装時に一緒に塗装したり、交換したりしていましたが、現在は大規模更新時に桁や床版の取替と同時に交換するようにしています。

 ――南部区間は

 工藤 顕著な塩害はみられていません。

 ――鋼材などの腐食損傷はないですか

 工藤 大きな損傷はありませんが、小さなものはジョイント部で見られるため、今年度も3箇所で伸縮装置を取替えています。

 ――耐震補強の進捗状況は

 工藤 平成29年度に竣工した許田高架橋の改良工事において、鋼桁すべての掛け違い部に20箇所ほど落橋防止装置の設置を行っています。それ以外の橋梁の耐震補強についても、計画的に進めていく予定です。

 ――熊本地震で明らかになった知見、並柳橋で生じた特殊橋や鈑桁との掛け違い部の損傷や、特殊長大橋の耐震補強についてはどのように考えていますか

 工藤 それは事務所というよりも支社、もしくは本社レベルでの話になろうかと思います。事務所は本社や支社の出す方針に従って順次耐震補強を行っていくことになろうかと考えています。



ここ数年は2橋ずつ大規模更新を施工

 ――経年劣化や疲労などによる損傷を生じた上部工補修補強のここ3年の実績と、今年度施工済みおよび施工予定の橋梁は

 工藤 平成27年度でいくと床版取替え工事を2橋行っています。内訳は屋嘉第1高架橋上り線と、松田橋下り線の2橋です。

 平成28年度が床版取替え工事を3橋で行っています。内訳は金武橋下り線と明治山第2橋上り線および明治山第3橋上り線です。

 平成29年度が2橋の床版取替え工事を行っています。内訳は福地川橋上り線と湖辺底橋下り線です。

 平成30年度は2橋、億首川橋上り線と明治山第一橋下り線の床版取替えを予定しています。


過年度に行った億尾川橋の桁取替