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幸久大橋4車線化工事などが進展

茨城県 復興・創生期間内に重要路線を集中的に整備

茨城県
土木部長

富永 幸一

公開日:2018.03.29

(仮称)下大賀高架橋では合成床版を採用

 ――国道118号那珂大宮バイパスは
 富永 国道118号那珂大宮バイパス(延長8.3km)は、県北地域における交通の円滑化や地域の経済活動を支える重要な路線であり、現在、4車線化事業を進めています。事業進捗率は約4割(平成28年度末)、構造物比率は4%です。


事業平面図

 このうち、JR水郡線を跨ぐ静跨線橋が東日本大震災で甚大な被害を受け、橋の復旧は不可能と判断されたことから、本橋の架替えを含む那珂市瓜連から常陸大宮市下村田までの約3.1kmを優先区間として整備を進めています。静跨線橋は現在、暫定2車線の新橋で供用しており、4車線化のための下部工を施工しているところです。
 本バイパスのおもな構造物としては、(仮称)下大賀高架橋があり、平成25年度に着工し、事業費は約21億円です。橋長211m、幅員25.3m(車道14.0m)の鋼5径間連続少数鈑桁橋で、合成床版を採用することで床版コンクリート打設時の型枠が不要となり、省力化および工期短縮を図っています。



(仮称)下大賀高架橋 橋梁一般図(平面図/側面図)

 また、鋼少数鈑桁橋とすることで主桁本数を少なくし横桁・横構などを単純化または省略して合理化を図っていること、耐候性鋼材を採用し、塗装における維持管理費の縮減を図っていることが特徴です。上部工は完成し、前後の取付道路を整備後、(仮称)下大賀高架橋とその北側の区間を平成30年度に暫定2車線で供用予定です。



上部工施工状況

国道6号と国道245号を東西方向に結ぶ850mの路線を整備
 線路下の函渠はHEP&JES工法で施工

 ――都市計画道路鮎川停車場線は
 富永 日立市内の著しい交通渋滞の緩和策として、南北軸である国道6号と国道245号を東西方向に結ぶ延長約850m、幅員25mの新たな4車線道路です。
 事業は平成14年度に着手し、平成23年の東日本大震災を契機に本路線の緊急輸送道路や津波避難路としての重要性が増したことから、平成24年度から復興事業に切り替え、現在、復興・創生期間内の2020年度の全線供用を目指して工事を進めています。


事業平面図

 全体事業費は約80億円で、おもな構造物としてJR常磐線のアンダーパスがあります。前後のアプローチ部を含めた延長は250mで、アンダーパス部(函渠)が延長約84m、アプローチ部(U型擁壁)が延長約166mとなります。アンダーパスとなる函渠部の施工はJR東日本に委託し、前後のアプローチ部は県施工としています。平成29年度末時点での工事進捗率は、JR委託施工部が約33%、県施工部が約50%です。


JR常磐線のアンダーパス 縦断図

完成パース

 すべて現場打鉄筋コンクリート構造となっており、線路下の施工はJRとの協議の結果、非開削で安全かつ効率的に営業線の下に横断構造物を構築できる工法として多くの施工実績がある「HEP&JES工法」(水平ボーリングによって削孔した孔にPC鋼線を挿入した後、到達側に設置したけん引装置で、掘削装置に定着したPC鋼より線を引っ張ることで、掘削装置に連結したエレメントを発進側から地中に貫入する工法(HEP)と、エレメントの軸直角方向の力の伝達可能な継手部を有する鋼製エレメントを用いることにより路盤面下に非開削で箱型ラーメン形式や円形等の構造物を延長に左右されずに構築する工法(JES)を合わせた工法)を採用しています。


(左)HEP&JES工法での施工状況 (右)アプローチ部のU型擁壁工

 現在のところ、転石出土により一部の掘削法の見直しを行いましたが、大きなトラブルもなく順調に工事が進んでいます。その他の施工については、函渠工4ブロック、U型擁壁工9ブロックの13ブロックに分けて進めており、現在までにU型擁壁工5ブロックが完了しています。
 ――石岡小美玉スマートICアクセス道路は
 富永 常磐道の石岡小美玉スマートICから茨城空港をほぼ直線で結ぶ道路で、常磐道へのアクセス性の向上はもとより、茨城空港の利用促進や周辺地域の活性化を図ることを目的とし、平成27年度から整備を進めています。延長は約9.6kmで、石岡小美玉スマートIC側約5.0km区間(西工区)を県が、その東側の約4.6km区間(東工区)を小美玉市が担当しています。事業進捗率は27%(平成28年度末)、構造物比率は4%です。


事業平面図

 おもな構造物としてはJR常磐線を跨ぐ(仮称)正上内跨線橋(橋長304.3m、幅員16.2m)があり、事業費約32億円で、平成29年度に着工しました。橋梁形式は、JR跨線部が鋼単純鋼床版箱桁橋(46.0m)、その西側(常磐道側)がPC単純プレテンションT桁橋(24.4m)、東側(空港側)がPC6径間連結コンポ橋(233.9m)です。
 2020年に開催される東京オリンピックを見据え、非常に短い工期で工事を進める必要があり、困難な施工が予想されています。そのため、P2~A2間の6径間はプレキャストPC床版を使用し、主桁の少数化や床版の合理化・省力化による工期短縮を図ることができるPCコンポ橋を採用しました。


(仮称)正上内跨線橋完成イメージ

JR常磐線跨線部の施工状況

 JR常磐線を跨ぐP1~P2間は、できる限り道路縦断勾配を抑えるため、鋼単純鋼床版箱桁橋を採用して桁高を抑制しているほか、耐候性鋼材を採用し塗装塗替えを不要にするなど、維持管理を容易としています。架設工はJRが施工を行う予定で、手延べ桁、主桁、鋼床版などを一括地組して送り出す送り出し架設を採用します。
 また、橋長約304m、最大高さ約20mの高架橋となることから、歩道を橋梁形式とせず、JR交差部は軌道下にアンダーボックスを設置して、歩行者の利便性と安全性に配慮しました。
 平成29年度は下部工の施工および上部工の製作を進めていて、平成30年度は上部工の桁架設に着手する予定です。
 ――整備中のトンネルはありますでしょうか
 富永 国道461号水府里美拡幅(横軸)事業(延長3.4km)の一部として、(仮称)北沢トンネル(延長1,581m)を整備します。現道は幅員が狭く、線形不良のため、その解消が目的で、平成30年度に工事に着手する予定です。NATM工法での掘削となります。

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