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インタビュー詳細

2016年我が社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑨日本鉄塔工業

熊本地震復旧復興事業に貢献~総合エンジニアリング企業を目指す~

日本鉄塔工業株式会社
代表取締役社長
有田 陽一 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。11日は、日本鉄塔工業の有田陽一社長と日立造船の坂井正裕常務の記事を掲載する。   

 ――15年度の業績と16年度の需要環境見通しは。

 有田 鉄塔分野での15年度の受注高と売上高は、ほぼ計画通り。また、橋梁分野の受注高は計画を上回り、売上高はほぼ計画通りとなった。大型の受注物件として九州地方整備局発注の早津江川橋上部工工事(5,800㌧)を3社JVで受注した。難易度の高い工事のため、社員はもとよりJV各社と緊密に連携し、安全施工に努めていく。会社全体では受注高、売上高ともに前年度をわずかに下回ったが、営業利益は増額を達成している。

 16年4月に発生した熊本地震で社員の家族にも被害があり、被災された方々のご苦労とご心痛に心からお見舞い申し上げたい。また、九州電力管内の電力設備にも被害が発生したが、昼夜を徹した復旧対応を行い、その貢献に対して、感謝状をいただいた。

 橋梁では、NEXCO西日本九州支社に協力し、九州自動車道木山川橋の復旧に注力している。地震発生直後から関係各社と連携し高速道路の通行確保に努め、本格復旧工事を施工中にある。産業医を現地に派遣し、作業に従事する方々の健康管理を徹底するなど安全施工に努めている。送電線や道路インフラ等の整備及び復旧は、震災復興に欠くことのできない最優先課題であり、復旧復興事業に貢献できることを社員一同誇りに感じている。

 16年度の需要環境の見通しだが、鉄塔は九州電力日向幹線の生産により工場稼動・数量は確保しているが、さらなる受注を目指している。再生可能エネルギー分野では、太陽光発電関連製品の市場が減少傾向にあるが、昨年度を上回る受注を計画している。

 橋梁では、九州地方整備局筑後川河川事務所管内の工事で局長表彰、東北地方整備局山形河川国道事務所管内の工事でも安全管理優良工事表彰を受賞した。日ごろの努力が実を結ぶ工事が増えつつあり、大変喜ばしく思っている。福岡県柳川市で施工中の沖端川(おきのはたかわ)大橋は4月の熊本地震で震度5強を受けたが、桁の併合を無事に完了できた。最後の仕事を進めており、予定通り10月には竣工の予定だ。受注に関しては今のところ計画を下回っているが、引き続き技術力の向上に努め、目標を達成したい。久しぶりに発注が計画されている地元の福岡北九州高速道路公社にも期待している。全体の売上げは昨年以上を計画している。


沖端川大橋


 ――重点活動は。

 有田 当社の「強み」である送電鉄塔等に関する点検、強度検討設計、補修、補強、部材取替工法等のほか、「NT 鋼構造物の長寿命化システム」など、鉄塔長寿命化技術のさらなる向上を図り、送電鉄塔以外のメンテナンス需要にもしっかりと対応していきたい。橋梁では、従来から取り組んでいる低騒音伸縮装置撤去工法において、低騒音工法協会を設立し、広く工法の普及を図るとともに、汚泥などの産業廃棄物の低減にもつながる乾式工法の開発も進めている。より一層の施工時間短縮、深夜作業を可能にする低騒音化の実現を目指し鋭意開発を進めており、営業を展開中にある。太陽光発電関連製品では、設置場所等の条件面で厳しい案件が増えている。傾斜面などでの設置には、当社独自の工夫が有効と考えている。買取価格引き下げなどで採算面も厳しくなっているが、架台製作だけでなく、基礎工事、取付工事など関連分野を取り込むことで、受注拡大を図りたい。

 風力発電関係において、今年7月、NEDOの支援を受けた株式会社チャレナジーに協力して台風時も発電できる「垂直軸型マグナス風力発電機」の支持架構を製作、設置した。現在、沖縄で実証試験中だが、今後も同社との協力関係の発展を期待している。

 インフラのメンテナンスの重要性が高まる中、『今日を創り、未来へ「継なぐ」。プロダクト&メンテナンス』を掲げて、メーカーという意識から脱皮し、設計製作からメンテナンスまで、インフラ・サービス全体を提案・提供する総合エンジニアリング企業を目指している。

 22年には創業100周年を迎える。今後もさらなる100年を目指し、社員一丸となって全力で取り組みたい。(聞き手・大熊稔、文中敬称略)