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インタビュー詳細

2016年我が社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑦IHIインフラシステム

日本を含む世界4拠点を軸に事業展開~市場に対応した人材育成を~

株式会社IHIインフラシステム
代表取締役社長
井上 明 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。5日は、IHIインフラシステムの井上明社長と高田機工の寶角正明社長の記事を掲載する。


 ――昨年度の業績についてお伺いします。

 井上 昨年度は売上約560億円。トルコのイズミット橋での事故で見込んでいた売上げが今期にずれ込んだため若干減少した。さらに、事故による復旧費用、工程遅延などで、収益面は振るわない結果となった。受注については、約550億円。14年度は356億円と低迷していたことを考えると、復活したという手応えはある。



イズミット湾横断橋(オスマン・ガーズィー橋)

 国内外の受注比率は年度によってまだら模様といえるが、昨年度は3割が海外案件となった。具体的にはインドの鉄道プロジェクト、バングラデシュの道路橋3橋の新設、コンゴのマタディ橋の改修など。

 国内に関しては最低でも3万㌧受注を目標に掲げているが、昨年度は未達に終わった。各社の技術提案力や積算精度が拮抗し、受注競争が激烈になっており、安定して達成するのは容易ではない。


大熊川トラス橋

(首都高速道路高速神奈川7号横浜北線、大熊川渡河部に架橋、平成27年度土木学会田中賞受賞)


築地大橋(東京都都市計画道路環状2号線隅田川渡河部に架橋する鋼3径間連続中路式アーチ橋)

 一方、新設橋が漸減するなか、大規模更新・修繕事業の出件が増えつつあり、これらの何件かを受注できたことは、今後の高難度改修工事の事業展開を図っていく上では、大いに意義があると考える。

 ――今年度の目標は。

 井上 今年度の受注目標は500億円超、売上げは450億円規模と見通している。売上げが前期より減少するのはイズミット橋がほぼ終了し、いわば端境期にあたるため。来年度はインド、バングラデシュ案件の出来高もあがってくるので500億円規模には回復すると見込んでいる。

 国内の事業環境は、今年度は昨年度とほぼ横ばいとみる。鋼重ベースには必ずしも表れない都市型保全工事での出件が見込まれ、新設の漸減分を保全が補う形となる。マーケットの質は変化しているが、総需要量は横ばいになると予測する。

 ――保全事業については。

 井上 保全事業は、供用中の道路の機能を最大限担保するという観点から、工事中の交通規制の最小限化や安全、安心面での配慮など新設とは違うニーズが求められている。他社に遅れを取らないように、技術・工法、人材のブラッシュアップを図っていく。グループ会社のIHIインフラ建設とのシナジー効果をあげるために技術や情報交換などで、協業や棲み分けを実施していく。

 ――水門事業については。

 井上 水門についてはここ数年、トップシェアを維持している。東北の復興案件ならびにダム再開発事業もほぼ目標通りに受注できている。ダムもメンテナンスの時代に突入しており、選択取水、堆砂対策、放流能力などの機能増強工事や、新たに取り組み始めた制御情報システム関連の分野で対応を強化していきたい。

 ――海外事業展開は。

 井上 IHIグループの橋梁事業の使命として、収益とともに一定の規模の拡大を目指していく。国内は規模の拡大は望めないことから、総体的には海外事業の比重を4〜5割近くに増やしていく必要がある。

 日本を含めて、東南アジアや南西アジアなどのアジア地区、トルコおよび欧州、長大橋の老朽更新需要が増える北米の4拠点を軸に展開する。アジア地区はODA案件、トルコ・欧州および北米はPPP案件が中心となるが、拠点ごとに戦略を立てて活動していく。

 ――人材確保については。

 井上 橋梁や水門の事業はいわゆる「地図に残る仕事」の典型である一方、当社は世界で活躍するコントラクターを目指しており、次代を担う人材が、夢を語れる、あるいは夢を実現できる場を提供し得る企業にならなければいけない。

 また、マーケットの質が変わっていく中、新設から保全へ、あるいは国内から海外へと軸足が移行しており、今までの経験とは異なる知見、技術などが必要となっている。そのようなあらゆるスペックを意識して、人材採用、育成、ローテーションを実施していくことも重要と考えている。

 (聞き手・佐藤岳彦、文中敬称略)