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インタビュー詳細

2016年我が社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑤東京鐵骨橋梁

10月に鉄骨統合、来春新社名へ 図面の適正処理が重要

株式会社東京鐵骨橋梁
代表取締役社長
坂本 眞 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。14日は、東京鐵骨橋梁の坂本眞社長と宮地エンジニアリングの青田重利社長の記事を掲載する。


 ――業界の現状を。

 坂本 当社調べによる7月20日現在の今年度橋梁発注量は、5万5,600㌧と前年同期比39%減少している。年間では前年度並みの22〜23万㌧と予想する向きが多いが、はたしてその水準に達するか心配だ。鉄骨は前年度まで3年連続で500万㌧内外の水準を維持したが、大型プロジェクトを中心に横ズレする案件が多く、ファブ各社は対応に苦慮している。その影響もあって足元の鉄骨市場はやや活況感に欠ける状況にあるが、来年後半以降は需要がにわかに盛り上がり、18〜19年度にかけてピークを迎える見通しにある。

 ――前年度の業績は。

 坂本 受注高278億円、売上高233憶円、経常利益1億1,000万円だった。もう少し楽な決算を見込んでいたが、昨年度は国交省案件の受注が不調で、受注済みの大型道路橋も生産に寄与しなかったことからやや残念な数字になった。


 ――片山ストラテックとの経営統合の状況は。

 坂本 4月に橋梁事業を統合し、さらに8月にKAP事業を譲受した。片山の旧大阪本社は大阪本店とし、旧東京工場は熊谷工場としてSグレードを申請、すでに審査を終えている。10月には認定を受けられる見通しで、それを待って鉄骨部門を統合して完全にひとつの会社にする。新社名への変更は来年4月の予定だ。

 ――各工場の生産品目と山積みの状況は。

 坂本 統合によって4工場体制となり、取手は橋梁及び鉄骨、熊谷と防府は鉄骨、千葉臨海は鉄骨とその他の鋼構造物を加工している。全社的な山積みは、橋梁はまずまずの水準にあるが、鉄骨は今秋から来春までがやや薄い。ただその後の山は高く、夏場以降は非常にタイトになる。また今年後半からは、当社として2件目の受注となった鋼製セグメントの製作を千葉で本格化させる。各工場の特徴をより活かした生産体制の確立に向け、4月から生産計画部を社長直轄に切り替え、調整を進めている。

 ――今年度の業績目標は。

 坂本 受注目標は480億円。前述のセグメントが入ってくるので、例年に比べ数字が上がっている。受注利益は8%前後を目指す。

 ――設備投資計画は。

 坂本 総額で10億円程度の投資を予定している。取手は主に老朽設備の更新、千葉臨海はセグメント関連設備の新設と鉄骨一次加工ラインのリプレース、熊谷は更新時期を迎えているコラム加工ラインの再整備、防府はボックスラインの追加設置を計画している。

 ――新分野の取り組みは。

 坂本 鋼製セグメントは、将来的な需要が読み切れない部分はあるが、ゼネコンの動向もみながら生産に関わるノウハウは蓄えておきたい。技術開発面では鋼・コンクリート境界部腐食検査システムなど自社開発製品のさらなる改良、実績作りに努めながら、片山から引き継いだ橋梁のリニューアルや鉄骨の溶接関連を中心とした技術・商品開発に注力していく。


北海道横断自動車道 七戸沢橋(鋼上部工)工事


 ――今後の課題と戦略。

 坂本 製造部門では、橋梁、鉄骨兼業ファブの強みを生かし、それぞれが補完し合える体制を整備することが肝要だと考える。営業面では、橋梁は発注者の要求レベルをしっかり把握し、技術提案力の強化を図って、毎年柱となる大型案件の確保に努めていく。鉄骨は需要の拡大が見込まれるなか、山崩れを起こして製作時期が集中してしまうのが一番怖い。そうした事態に陥らないためにも初期段階から設計、ゼネコン、ファブが手を携え、互いに協力していくことが大切。とくに図面の適正な処理が重要であり、当方でも作図業者がタイトな状況になっているので、それをいかにコントロールして実製作に結び付けていくかが課題である。また、鉄骨の需要環境が良好なこの時期にファブ業界としての地位向上を図り、懸案である入職者不足等を多少なりとも改善していく必要がある。(聞き手・田中貴士、文中敬称略)