道路構造物ジャーナルNET

塩害やASRにより傷んだ橋を補修

福岡市 雑餉隈駅付近の連続立体工事が佳境に

福岡市 道路下水道局
管理部長

宮本 能久

公開日:2016.09.16

全体で1,954橋を管理
 PCとRCで全体の97%を占める

 ――次に保全について聞きます。まず現在の管内構造物の内訳を橋梁から
 宮本 橋梁は全体で1,954橋を管理しています。福岡市の特徴としては、コンクリート橋が多く1,904橋と全体の約97%を占めています。内訳は、PC橋が696橋、RC橋等(BOX橋含む)が1208橋、鋼橋は50橋となっています。
 架設年代別では、1970年台~1980年台に架設された橋が多く、橋齢50年を経過している橋は、166橋と全体の8%程度ですが、20年後に1527橋と全体の80%近くが橋齢50年以上となるため、計画的な維持管理が必須です。
 橋長別では、50㍍未満の橋梁が1848橋と大半を占めており、50㍍以上100㍍未満が72橋、100㍍以上200㍍未満が27橋、200㍍以上300㍍未満が3橋、300㍍以上が4橋となっています。
 路線別では、国道が22橋、県道が209橋、幹線市道が391橋、その他市道が1、332橋となっています。


福岡市の管理構造物数

 市内で最長の橋は、橋長750㍍の海の中道大橋(4径間連続PC中空床版+3径間連続PC箱桁+3径間連続鋼床版バランスドアーチ+3径間連続PC箱桁+4径間連続PC中空床版)です。ほか、特殊橋は、長谷ダムの道路として三日月橋(橋長67㍍、単径間ニールセンローゼ橋)を有します。


単純ニールセンローゼ形式の三日月橋

海の中道大橋

 ――PC橋が多く、鋼橋が極端に少ないですね
 宮本 大きな河川が少ないことがあると思います。但し、福岡都市高速道路の多くは鋼橋で作られています。

トンネルは4箇所を管理

 ――同様にトンネルは
 宮本 トンネルは4箇所を管理しています。都市部の1箇所は開削工法で、郊外部の3箇所は山岳工法で作られています。
 建設年代別では、1970年台に建設されたものが2箇所、1990年台に建設されたものが2箇所あるため、時期を見据え、予防保全型の効果的な補修を実施する予定です。
 延長別では、100㍍以上200㍍未満が2箇所、200㍍以上300㍍未満が1箇所、300㍍以上が1箇所となっています。
 路線別では、国道が1箇所、幹線市道が1箇所、その他市道が2箇所となっています。

橋梁……判定区分Ⅲは11、Ⅱは20橋
 3大劣化を主因とする変状多し

 ――点検を進めてみての管内各路線の構造物の劣化状況について詳しくお答え下さい。まず橋梁から
 宮本 橋梁は、平成15年度より一部橋梁について先行して点検を実施し、平成18年度からは福岡市の定期点検マニュアルを策定し、全橋梁を対象に5年に1回の定期点検を平成26年度までに2回は完了しています。平成26年度からは、国の省令改正に基づき、近接目視点検を実施しています。
 平成26、27年度の点検結果では、判定区分Ⅲ(早期措置段階)が11橋ありました。内訳はRC橋が最も多く6橋、次いでPC橋が4橋、鋼橋が1橋となっています。同様に判定区分Ⅱ(予防保全段階)は20橋あり、内訳はPC橋が11橋、RC橋が7橋、鋼橋が2橋となっています。
 変状の傾向・理由としては、福岡市の管理橋はコンクリート橋が9割以上を占めており、特に主桁・下部工のひび割れ・鉄筋露出といった3大劣化(中性化、塩害、ASR)が要因となるものが多くなっています。
 また、鋼橋については、福岡市では今まで定期的な塗装塗替えが行われていませんでした。その中には架設からずいぶん年数が経過しているにも関わらず、塗り替えを一度も行っていない橋もあります。そのため全体的な防食機能の劣化や、橋台などの支点部まわりや水掛かり部といった水分供給の多い箇所で局所的な腐食が見られます。
 ――同様にトンネルは
 宮本 平成19年、平成24年に点検を実施しており、判定区分Ⅱ(予防保全段階)が2箇所、Ⅰ(健全)が2箇所となっています。
 コンクリート部ではひび割れや遊離石灰、内装板等の鋼材部では腐食といった漏水などを原因とした変状が多くみられます。

耐震補強 現行計画ほぼ完了 新たな対象を検討

 ――橋梁など耐震補強の進捗状況、および落橋防止装置の設置状況(全数および実施済み数)および2016年度の設置予定についてお答えください。また、落橋防止装置の鋼製治具の不正・不良問題に関しての対策状況を教えてください。加えて今回の熊本地震を受けて市で対応することがあれば教えてください。
 宮本 橋梁の耐震補強については、現在、緊急輸送道路の耐震補強を推進しており、平成19年度より11橋の対策を開始し、平成24年度までに10橋の対策が完了しています。残り1橋は、架け替えを予定しています。
 今後、さらなる橋梁耐震補強計画について検討が必要と考えており、今後調査を進めていきたいと考えております。
 落橋防止装置については、溶接を伴う落橋防止装置(落橋防止構造・沓座拡幅ブラケット)を48橋に対し設置しています。2016年度に設置予定のものはありません。
 また、昨年明らかになった落橋防止装置の鋼製治具の不正・不良問題については、不正等を行っていた会社が製作したものはありません。熊本地震を受けての対応については、早急に対策を実施する予定はありません。

ロッキングピアは1橋管理
 興徳寺橋の架け替え

 ――ロッキング橋脚を有する橋梁の数は
 宮本 九州縦貫自動車道のオーバーブリッジとして1橋を管理しています。国の状況を見て補強を検討することになると思います。
 ――今回の地震の教訓として落橋はないもののアバットで段差が生じて通行止めに遭った橋梁が生じたことがあります。熊本県内の発注機関の一部では、既設橋へ予防保全的に踏掛板の設置など段差防止工を設置する工事も出ていますが、福岡市はどのように考えますか
 宮本 今のところそうした対策を行う予定はありません。(2005年に起きた)福岡県西方沖地震でも、そうした境界部で段差が生じるなどの損傷はありませんでしたから。
 ――架け替え事業を予定している橋梁は具体的にどの橋ですか
 宮本 興徳寺橋です。福岡市西部を流れる名柄川下流に架かる橋梁です。都市計画道路であり、老朽化かつ幅員狭小の橋梁を架け替えし、拡幅するものです。現在の橋梁は昭和39年に完成しました。


興徳寺橋

 新橋の橋長は約28㍍、幅員約16㍍の橋梁で,平成29年度より詳細設計に着手する予定です。

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