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インタビュー詳細

ブラスト工法を全て循環式ブラスト工法にしたい

日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会を設立

一般社団法人
日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会
代表理事
山田 博文 氏

 鋼橋など鋼構造物の塗装や金属溶射等の前処理として行われる1種ケレン(ブラスト処理)において金属系研削材を使用し循環再利用をする事で、産業廃棄物量を大幅に縮減する事を可能とした循環式ブラスト工法の普及とその技術の向上を目指すべく、同工法を展開する施工会社及び団体、材料・機械メーカー等の循環式ブラストに精通した有志の方々が、一般社団法人日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会を設立した。理事長には循環式エコクリーンブラスト研究会山田博文会長が就任する。8月下旬にも設立総会を開催する予定だ。今回はその内容について山田会長にインタビューした。(井手迫瑞樹)


産廃量は従来ブラストの2%程度に大幅削減

 コストは鉛含有塗料で従来の80%、PCB含有塗料で従来の20%程度に縮減

 ――まず循環式ブラスト工法の現状は、湿式が半ば奨励されている中でどのように対策を施し、実績を上げているのでしょうか

 山田代表理事 2014年5月30日の厚労省通達文書以来でいうと、循環式ブラスト工法の施工実績はおおよそ60万平方㍍以上に達しています。この数字が多いか少ないかの判断は様々だと存じます。なぜこのようにこの通達後も乾式によるブラスト施工が行われているのでしょうか? 

 ここには発注者や施工者ごとによる安全衛生法の解釈の相違が有ることに大きな問題だが有ると考えております。我々の行っているブラスト施工はそもそも安全衛生法の鉛中毒予防規則・第40条における、含鉛塗料のかき落とし業務の適用から除かれているのです。しかしながら作業者の安全衛生の確保を無視するわけではありません、ブラスト施工には、鉛則の前にさらに厳しい規制が設けられております。厚生労働大臣は、屋内施設及び密閉施設等でブラスト施工を行う作業においては粉じん障害予防規則を適用させることとしておりその規則に基づき安全な作業を行うこととなっています。たとえば安全衛生保護具についてを例にとっても、鉛中毒予防規則では、防塵マスク並びに電動ファン付粉じん用マスクでも作業可としておりますが、粉じん障害予防規則におけるブラスト施工では送気マスク(エアラインマスク)又は空気呼吸器(空気ボンベ式)に限定されております。また換気装置に関しても鉛則では排気風速の基準までは設けられておりませんが、粉じん障害予防規則では、塗料カスや研削材から発生する粉じんの比重が大きいことから風速に関しての基準までも設けられております。そのような事から安全衛生規則を遵守し、大気汚染防止法などの環境法令を守り施工していくという概念で、我々は工事を遂行しております。



60万平方㍍の実績を有する


 以上の事から今日の施工数量に至っております。また全国的な施工規模としては中部地整管内が約5割、次いで東北が3割弱、関東が1割強、北陸が1割弱といったところです。発注機関別で申しますと、高速道路会社が3割強、国交省が3割弱、地方自治体が約4割となっています。

 循環式ブラストの強みは、金属系研削材を使用する事による粉じん発生率の大幅な低減がもたらす安全性や品質の向上はもとより、廃棄物の削減です。そもそも近年の鉛クロムフリー対策以前の橋梁に塗装されている塗料にはPCBや鉛が含まれていることから塗替え塗装で発生する特別管理産業廃棄物量の劇的な低減ができることがあげられます。よって、施工費と産廃処理費までを含めたトータルコストの縮減が大きいということしょう。これが評価されて近年実績が急伸しています。

 ――具体的にどの程度、産廃量の削減、コストの縮減が図られるのでしょうか

 山田 いずれも非金属系研削材を用いた従来の1種ケレン工法(オープンブラスト)との比較ですが、産廃量は50分の1に、産廃処理までを含めた総工事費は鉛含有塗料で最大約2割縮減、PCB含有塗料で最大8割を縮減できます。これは同工法が摩耗しにくいスチール(鉄)製及びステンレス製研削材を繰り返し使用するため、発生する廃棄物を既設塗膜と極微量の研削材だけにする事ができるためです。

 ――PCBや鉛を含んだ既設塗膜および最終的には繰り返し使用した研削材も廃棄物処理しなくてはいけませんが、出口戦略(処理方法)は確立されていますか?

 山田 PCBについては法令に定められた通り、所定の方法で所定の管理施設に保管し、処理工場の順番が空き次第無害化処理しています。ただ国交省での積算(除去後の既設塗膜の最終的な処分段階)は1㌔㌘当り2000円、1㌧当り200万円となっており、廃棄物処理を含む工事費の増大が懸念されます。

 鉛を含んだ既設塗膜については焼却した上で非溶出措置を施し、主に埋め立て処理をしています。これは他の塗膜処理工法と変わりません。