港川橋梁・牧港橋梁の上部工に着手へ
南部国道 那覇空港自動車道や沖縄西海岸道路を推進
内閣府 沖縄総合事務局
南部国道事務所長
上原 重賢 氏
小禄道路 1,900㍍弱の高架橋と約970㍍のトンネル
国道331号を切りまわしながらの難しい施工
――国道331号小禄道路は
上原 那覇空港自動車道の一部として、那覇市鏡水~豊見城市名嘉地間5.7㌔に計画されている自動車専用道路です。豊見城・名嘉地ICから約1,900㍍を高架・橋梁で通過後、平地を通り、モノレールの下を上り線が約970㍍、下り線が約850㍍トンネルを構築する構造で計画しています。基本的に完成4車で施工していく予定です。現在は設計・協議・用地買収を進めています。
本事業は、那覇市内において1日約5万台の交通を擁する国道331号を切りまわしながら施工しなければならない困難な工事です。そのため、今後詳細設計で安全管理、工期遵守を図ることができる施工計画を具体的に立案していきます。
――設計・施工一括発注なども考慮に入れますか
上原 そうした手法もここでは検討していかなくてはならないと考えています。
PCコンポ桁は今後も採用を検討
――特徴ある工法の採用は
上原 下部工においてのニューマチックケーソンの採用、上部工においてのPCコンポ桁、機能分離支承の採用があります。特にPCコンポ桁については、工期短縮、コスト縮減、品質向上の観点から大きく寄与しており、今後も使っていこうと考えています。
ニューマチックケーソンを採用
鋼橋は下塗りを1層追加
PC橋はエポ鉄筋、ポリエチレンシースで塩害対策
――鋼橋やコンクリート橋の防食について
上原 鋼橋については基本的に沖縄県独自のスーパー塩害仕様(沖縄地区鋼橋塗装マニュアル)で対策を行っています。具体的には下塗りを1層(300~800µm)追加するものです。溶射などの施工は行っていません。
また、コンクリート橋については、エポキシ樹脂塗装鉄筋の採用(海上や海岸近傍)、かぶり厚の徹底(上部工70㍉、下部工90㍉)、PC鋼材のシースをポリエチレンシースにする、などで対策しています。
海岸線から300㍍までを塩害の厳しい地域として拡大指定しており、その対策としてエポキシ樹脂全素線塗装型PC鋼より線仕様の高耐久性コンクリート橋を浦添北道路の橋梁(牧港橋梁など)で一部採用しています。
臨海部の橋脚でフライアッシュを採用
上部工で混和材として使用した例も
――フライアッシュコンクリートの採用は
上原 牧港橋梁、港川橋梁の橋脚部(ケーソン部除く)の一部で塩害対策及び耐久性向上を目的に使用しています。また、過年度に国道506号豊見城高架橋の上部工で混和材(乾燥収縮によるひび割れ防止)として使用した実績があります。フライアッシュ使用については標準ではありませんが、直轄では技術提案した業者が落札した場合等に使用する例があります。
――新設時から点検を考慮した工夫は何か行っていますか
上原 従来、鋼橋には検査路を設けておりましたが、現在はコンクリート橋にも設置するようにしています。また、桁端部に点検・作業スペースを確保し、維持管理性を向上させています。
検査路は溶融亜鉛めっきで防食
今後はアルミ製やFRP製の検査路も比較検討
――検査路について防食はどのようなものを施していますか
上原 現段階では溶融亜鉛めっきを使用しています。ただ、同めっきは、アルミやFRPに比べてイニシャルコストは安いのですが、沿岸部では15年ぐらいで損傷するケースも散見されます。そのため、今後、特に沿岸部ではアルミ、FRP等を設計段階で比較検討し、耐久性向上を図っていく予定にしています。
――人、モノともタイトな中、事業をスムーズに進捗させる施策は何か行っていますか
上原 状況が厳しいことは確かですが、基本としては官民の定期的な意見交換会等、総合事務局上部機関と連携した対応を行っています。年度末には施工業者さんが、人が集まらないので工期延長を求めてくることもあります。その際は柔軟に対応することで安全、安心かつ高品質な道路が確保できるよう心がけています。